「Studio Subtitling」アプリ - 動画翻訳に対応する翻訳者向けの総合的なソリューション
2019年9月25日
読了目安時間:8分
マルチメディア翻訳やメディア翻訳とも呼ばれるオーディオビジュアル翻訳に対するニーズは、この10年間で爆発的に増加しています。機転の利く企業は、移り変わりの激しい現代世界において、消費者がお気に入りのブランドや企業の視覚情報をいち早く求め、率直な意見を言うことを好意的に見ています。これに応える1つの手段が顧客向けの魅力的な動画コンテンツを作成することなのですが、メッセージを世界に広めるには、さまざまな言語で視聴できるようにしなければなりません。
そのために、今注目のオーディオビジュアル翻訳者が必要です。オーディオビジュアル翻訳者は、一見華やかですが、その作業は困難を極めます……。
オーディオビジュアル翻訳とは?
オーディオビジュアルファイルには、さまざまな翻訳方法があります。一般的なのは次の方法です。
- 字幕制作 - 原文音声の訳文を画面にテキストとして表示します。
- アフレコ - 「リップシンク」とも言われます。翻訳した台詞を口の動きに合わせて収録し、オリジナル音源の代わりに再生します。
- 吹き替え - オリジナル音源が再生されますが、吹き替え音源の再生時はオリジナル音源の音量が絞られ、翻訳された台詞が聞こえるようにします。
Tradosでは、この3つの方法に対応したソリューションをそれぞれ提供しています。今回は、字幕翻訳に対応するTrados Studioソリューションを取り上げ、この種の翻訳にありがちな問題を軽減する方法についてご説明します。
字幕翻訳の一般的な問題
オーディオビジュアルファイルの翻訳は、翻訳者にとって常に頭の痛い問題です。一般に、オーディオビジュアル翻訳用のテキストファイルのみを提示され、別に存在する動画を再生しながら、手作業で合わせていかなければならないからです。
この方法では、動画のタイムコードの確認や編集が不可能なため、翻訳の長さが適切かどうかを確認できません。翻訳作業は、まず、翻訳支援ソフトウェアを使用して行う必要があります。その後、専門的な字幕制作ツールを使用して正しく表示されることを確認してから、顧客に納品します。
ところが、この方法が非常に不便なことから、翻訳支援ソフトウェアでの作業をすべて省き、専門的な字幕制作ツールでいきなり翻訳する翻訳者も珍しくありません。そうなると、翻訳メモリの活用や、訳語検索の実行、さまざまな調査といったことができず、通常の翻訳作業時のような翻訳支援ソフトウェアのメリットを得られなくなります。
両方の長所を生かす方法があったら、すばらしいと思いませんか?
「Studio Subtitling」を紹介します
「Studio Subtitling」アプリは、翻訳支援ソフトウェアと字幕制作ツールが融合した、オーディオビジュアル翻訳者にとって夢のようなツールです。Trados Studioの機能をすべて備えています。オーディオビジュアルの翻訳体験が一変する主要な機能をいくつかご紹介しましょう。
リアルタイム動画プレビュー
翻訳している動画のプレビューをリアルタイムで確認できます。Trados Studio内で字幕を変更すると、自動的に更新されます。
複数の動画ファイル形式のサポート
プラグインを追加することで、SRT、WebVTT、STL(Sprucce)、SBV(YouTube)、ASS/SSAもサポートできます。
また、MPEG、HEVC、VC-1、WMV、DV、Motion JPEG、MP4、3GPP、AVCHD、ASF、AVL、MKV、DVなどの一般的な動画形式や、廃止予定の形式もサポートできます。
つまり、再生可能な動画はTrados Studioで翻訳できるということです。
タイムコードの編集
サポートされるファイル形式では、翻訳に合わせてタイムコードを確認し、編集できるため、エラーの特定と修正が可能です。
書式設定のサポート
字幕の書式(フォント、テキストの色、背景色など)を変更できます。WebVTTなどの一部のファイル形式では、動画内での字幕の表示位置を制作者が設定できます。この機能を備えたファイル形式を翻訳している場合は、Trados Studioによって配置要素が調整され、適切に表示されます。
フレームレートの変換
形式をミリ秒単位またはフレームから変更することもできます。スタイルガイドから作業する必要がある場合に非常に作業しやすくなります。
翻訳の品質保証
一般に、言語品質は定義しづらいものです。品質を決める要素と言われても、はっきりしません。それでも、翻訳者、レビュアー、編集者は日々言語品質を判断しなければならないのです。
そこで、当社では字幕翻訳の汎用的な品質評価モデルを作成しました。ストックホルム大学のJan Pederson教授が考案したFAR方法論をベースにしたものです。ダウンロードして翻訳時や翻訳後の編集時に使用できます。FAR方法論は、字幕翻訳の品質を次の3点から評価するために特別に編み出されました。
- 機能的等価(字幕が話の内容を伝えているか?)
- 許容性(字幕が訳文言語で正確かつ自然な表現になっているか?)
- 読みやすさ(字幕を流れるように負担なく読めるか?)
Pederson教授の記事の全文で詳細をご確認ください。
その他の機能
「Studio Subtitling」アプリには、ほかにも、字幕翻訳の理想が実現する便利な機能が満載です。たとえば、動画プレビューをメインインターフェイスから切り離して別のモニターに表示する機能や、動画ではなく静止画に字幕を付けるオプション、翻訳ニーズに合うように要素を調整できるカスタマイズ可能なグリッドなどがあります。
オーディオビジュアル素材を翻訳する翻訳者の未来は明るいと確信しています。ぜひ「Studio Subtitling」アプリをダウンロードして、そのメリットを実感してください。