営業の成功の柱を強化する:営業チームのオンボーディングと動機付け

Jessica Rathke氏 2013年5月25日 読了時間:約5分
会社の今後の成長を確実なものにするために、今こそ営業担当者を、成功を強力に支える柱に据える時です。
RWSは、説得力のある価値提案を行い、セールスチームを採用することで、営業基盤を構築・強化してきました。会社の今後の成長を確実なものにするために、今こそ営業担当者を、成功を強力に支える柱に据える時です。
 
セールス担当者のオンボーディング
 
オンボーディングとは、つまるところトレーニングであり、会社の文化、仕事の進め方、戦略上の焦点への同化です。ローカリゼーション以外の業界から転職してきたセールス担当者向けのトレーニングについては、よく理解されています。プロセス、テクノロジー、言語的な問題など、すべてを網羅する必要があります。しかし、新たに採用されたセールス担当者は、経験値を問わず、新たに入社した会社の特色を理解する必要があります。さらに重要なことに、彼らは無形のサービスを販売しているため、社内(および社外)の制作チームを売り込むことになります。こうしたチームの構成員について知ることで、セールス担当者はその企業をはるかに効果的に紹介できるようになります。私自身のこれまでのオンボーディング体験はというと、すばらしい経験もあれば、何も提供されないケース、「ああ、セールス担当者ですか、どのようなトレーニングが必要ですか?」と逆に訊かれたケースなど、さまざまでした。セールススタッフのトレーニングの面で最も優れているのは、正式なトレーニングプログラムを提供している中規模から大規模の言語サービスプロバイダ(LSP)です。
 
個人的に、特に記憶に残っているトレーニングプログラムについて紹介します。私は本社で数週間かけて、内部から組織について学びました。資料の参照と(制作チームのリーダー、部門責任者、プロジェクトマネージャー、そしてもちろん自分の上司やマーケティングディレクターとの)1対1のミーティングを組み合わせて行いました。トレーニングでは最初に、この会社の文化、目標、差別化要因にフォーカスして、次のような主な疑問を明らかにしました。
 
  • 会社にはどのような独自性があるか?
  • 会社にはどのような目標があるか?
  • 会社のキープレーヤーは誰か?
  • どのような分野の専門性(ソフトウェア、ライフサイエンスなど)を備えているか?
  • どのようなツールやテクノロジーが使用されているか?
  • 会社にはどのような歴史があるか?
  • どのようなセールスツールとマーケティングツールを利用できるか?
 
以降のトレーニングは、制作プロセスとテクノロジーにフォーカスした内容で、制作チームのリーダー、部門責任者、プロジェクトマネージャー、サポートスタッフと会って良好な関係を築く際に役立ちました。私は、さまざまなスタッフの傍らについて、仕事をどのように進めるのか、なぜそのようにするのかを学ぶように指示され、その後、一人でいくつかプロジェクトを管理して、制作だけでなく、会社を日々支えているシステムについても経験するように言われました。会社を代表して販売を行う世界に放たれるまでに、自社のプロセスとテクノロジーについて非常に詳しく説明できるようになっていました。実に優れたトレーニングだったと思います。
 
トレーニングの終了時には、会社の文化を吸収し、会社の目標、ブランド、差別化要因をしっかり理解できていました。また、社内のすべてのキーパーソンに加え、頻繁に連絡を取る可能性が高く、最も重要なプロジェクトマネージャーについても把握できていました。頭に浮かんだどんな質問についても、誰に訊けばいいか分かるようになっていました。こうした知識のおかげで後々大幅に時間を短縮することができました。
 
また、私とほぼ同時期に採用された他のリモートセールス担当者ともトレーニングを受けました。そのおかげで私たちのチームは協力し合える関係を築き、それをリモートセールス環境に持ち込むことができました。
 
サポートとモチベーション
 
強力なセールスチームは、強力なリーダーシップ、特に強力なセールスマネージャーから始まります。私が過去に勤務してきた会社の最も優秀なセールスマネージャーは、たくさん仕事をし、たくさん出張し、文化の創出に貢献していました。こうしたマネージャーは、自身がセールスチームの各メンバーと積極的に関わることで、セールスチームに会社と積極的に関わるように促していました。最強のセールスチームマネージャーには、こうしたことを可能にする、次のような共通した特徴がありました。
 
  • 優秀なセールスマネージャーは、「いくらの収益を得る」といったことに留まらない明確な目標を設定します。『ProActive Sales Management』の著者であるSkip Miller氏は、「優れたセールスマネージャーは、販売につながる事柄を数値で示す」という至言を残しています。目標を設定することは決して容易ではない、継続的なプロセスですが、セールス担当者と管理者の両者が合意のもとで目標を設定できれば、それはどのセールス担当者にとっても強力な動機になります。多くのセールスマネージャーは、セールス担当者が電話をかける回数だけに着目していますが、これは誤った指標だと私は思います。毎日100件の電話をかけているのに、何も達成できないということもあり得ます。私が知る最高のマネージャーは、生産的な架電数を測定していました。さらに重要な指標として、経営幹部レベルへの接触回数、見積もりの数、面談の回数、プレゼンテーションの回数、成約に至った見積もりの数、紹介されて獲得した顧客数、クロスセルに成功したサービスの数など、その他の事柄についても測定していました。私の仕事の質的な側面も測定していました。こうした測定対象には、特定業種の同僚に対するプレゼンテーション、年次計画に関する管理者に対するプレゼンテーション、電話営業をはじめとしたさまざまなセールススキルの実践などのスキル構築活動も含まれていました。収益の達成度以外はセールス担当者について何も測定しないケースがあまりにも多くありますが、これは通常、11か月で手遅れになります。測定できる事柄を頻繁に測定することが重要です。
  • 優秀なセールスマネージャーは、利用できるあらゆるチャネルを使って頻繁にコミュニケーションを取ります。今では、社内にいない社員とかつてないほど手軽にコミュニケーションを取れるようになりました。IM、Skype、電話会議、ウェビナー、ウェブキャスト、テキストメッセージ、そしてもちろん、この業界で過度に使用されていると言われている電子メールを使用して、簡単にコミュニケーションを取ることができます。中でも特に優秀なセールスマネージャーは、恐ろしい「持ち回り制」のチーム電話会議を避けて、成果、課題、解決策、知識の共有(困難な状況の克服、RFPに関する難題の解決策についてのブレインストーミング、成功事例とその達成方法の共有、サービス内容や価格設定などに関する顧客からのフィードバックなど)といった特定のトピックに的を絞った、高度に構造化された電話会話を行っていました。
  • 彼らはいつでも応じられる態勢を取っていて、何かあればすぐに対応していました。大半のセールスマネージャーは非常に多忙ですが、迅速な対応は、チームとの信頼構築のためにも、顧客のためにも重要です。過労気味の元上司の1人は、電話に関して簡単な手順を確立していました。緊急の連絡は、すぐに音声メッセージに残してもらう、というものです。こうすることで、毎時、数十件も掛かってくる電話の優先順位を付けることができました。その結果、私はたいてい30分以内に折り返しの連絡をもらえました。ほとんどは10分以内です!おかげで、顧客への応答時間を大幅に短縮できました。昨今では、顧客満足度がすべてですからね!
  • 優秀なセールスマネージャーは、会社の動向について常に最新の情報を提供してくれました。社内の重要なニュースを人づてに聞いたり、最悪の場合、社外の人から聞かされたりすると、がっかりするものです。繰り返しになりますが、セールス担当者は常に最新情報を把握している必要がありますが、経営幹部が重要なニュースを一部のスタッフにしか話さないというのはよくあることです。
  • 優秀なセールスマネージャーは、サービス提供を強化する新しいテクノロジー、付加価値のあるサービス、パートナーシップの取り決めについて、私を教育してくれていました。新しいテクノロジー/プロセス/サービスや、戦略変更に関するトレーニングをリモートセールス担当者は受けていないのに、社内チームは受けていると耳にすると、非常に落胆させられます。もちろん、セールスチームには関係のない技術トレーニングもありますが、サービス内容の強化に役立つのであれば、セールスチームはその技術について知る必要があります。
  • 優秀なセールスマネージャーは、セールスチームを1年に数回集めて、トレーニング、ブレインストーミング、チーム構築、戦略会議を行ったり、さらに大きな会社のミーティングに出席させたりすることで、チームワークを促進していました。これは士気を高めるうえで非常に効果的でした。
 
セールスチームに適切なオンボーディングを実施して、やる気を引き出すことで、チームは外に出てサービスを売り込む準備が整うのです。 
Jessica Rathke氏
制作者

Jessica Rathke氏

Sales Consultant、Fluent Sales
34年以上にわたり、大手翻訳会社でローカリゼーションの営業と営業管理、またマーケティングの分野に携わってきました。現在は、Fluent Salesの営業コンサルタント、コーチ、トレーナーとして活躍しています。
この執筆者の全記事: Jessica Rathke氏