Tradosの新機能 - 2024年第2四半期の概要

Georgina Wheeler Georgina Wheeler Product Marketing Associate 2024年7月30日 読了目安時間:7分 読了目安時間:7分
An introduction to translation collaboration

Tradosはこの3か月間で飛躍的に進歩しました。  中でも注目したいのは、AIを簡単に翻訳ワークフローに統合できる革新的な「AI Essentials」アドオンのリリースです。AI Essentialsは今年初めに導入された生成翻訳とSmart Reviewという2つの画期的な機能を組み合わせたアドオンであり、翻訳品質の向上、市場投入期間の短縮、翻訳コストの削減を実現します。LLMサブスクリプションを別途購入する必要はありません。このアドオンを使用することで、企業は自社のビジネスニーズに合わせてTradosソリューションをカスタマイズし、効率的にあらゆるコンテンツを翻訳できるようになります。 

さらに、Tradosプラットフォームの新機能もリリースしました。そのうちのいくつかをご紹介しましょう。 

翻訳管理機能の強化による柔軟性と品質の向上 

まったく新しいカスタムレポートモジュール:2021年にリリースしたカスタムレポートは、ユーザー独自のビジネスデータからカスタムレポートを出力する機能です。カスタムレポートにはパフォーマンス指標とプロジェクトに関する有用なインサイトが記載されているため、ユーザーはデータに基づいて意思決定を下すことができます。 

カスタムレポートのリリース以来、お客様からの貴重なフィードバックに耳を傾け、カスタムレポート機能を大幅に改良した結果、お客様独自のビジネスニーズや要件に合わせたレポートの作成をさらに簡単に行えるようになりました。主な新機能は次のとおりです。 

  • シームレスなプロジェクト作成を可能にする最新UI。 
  • 効率を最大限に高める応答性の高いレポートデザイナーインターフェイスを含む、大幅なパフォーマンス強化。 


新しいカスタムレポートモジュールを示すスクリーンショット 

完全一致による効率的な翻訳:ワークフローの新しいステップとして完全一致をブラウザに導入し、この強力な機能をTradosポートフォリオ全体に適用できるようにしました。 

これまで、デスクトップアプリケーションのみに搭載されていた完全一致は、原文ファイルを翻訳メモリではなく既存のバイリンガルファイルと比較するコンテキスト一致の一種です。以前のドキュメントから一致する分節を特定し、前後のコンテキストを考慮することで、完全一致を提示できます。このような「完全一致」分節はロックすることができるため、翻訳者はすでに翻訳したことがあるコンテンツを再翻訳して貴重な時間を無駄にすることがなくなります。プロジェクトマネージャーは翻訳用のファイルをより的確に準備できるようになり、翻訳者は重要なタスクに時間を集中できるようになるため、生産性が大幅に向上します。完全一致は、製品説明やマニュアルなど、定期的に更新する必要があるコンテンツを翻訳する際に一貫性と効率性を確保できるソリューションです。 


プロジェクトの作成中に完全一致の設定ページを表示するスクリーンショット  

翻訳コラボレーションの強化で効率性とカスタマイズ性が向上 

カスタマーポータルのSmart Help:当社では、Tradosプラットフォーム全体に言語処理AIの導入を続けています。そのAIが持つ多様な機能の1つがTrados Copilot - Smart Helpです。当社独自のセキュアなLLMを活用しているSmart Helpは、ボタンをクリックするだけでインテリジェントなサポートを提供する機能です。ユーザーが入力するあらゆる質問に対し、当社の製品ドキュメントに基づいて回答し、関連するリンクと引用を提示します。このインテリジェントな機能はメインのTrados UIに実装済みでしたが、今回カスタマーポータルに拡張されました。ユーザーはこれまでよりも簡単かつ効率的に製品に関する質問の回答を見つけられます。 


カスタマーポータルのSmart Helpを示すスクリーンショット 

カスタムダッシュボードコンテンツ:当社はTradosプラットフォームでユーザーができるだけ良質な体験をできるよう尽力しています。最新の更新では、TradosのメインUIとカスタマーポータルの両方からダッシュボードのカスタムコンテンツを表示できるようになりました。アカウント管理者が企業のスタイルガイドやその他の関連リソースへのクイックリンクなどの重要な資料を共有できるようになったため、ユーザーはTradosプラットフォームを離れて情報を探す必要がなくなりました。また、アカウント管理者はコンテンツがどのインターフェイスに表示されるかを制御する権限を設定することができるようになり、監視機能と管理機能が強化されました。


カスタムダッシュボードコンテンツを簡単に追加する方法を示すスクリーンショット 

新しい翻訳生産性機能により、翻訳プロセスを高速化  

Online Editorの機能強化

Tradosプラットフォームでは、ブラウザベースの最新の編集環境にアクセスでき、高度なレビューオプションやリアルタイムプレビューを活用し、デバイスを問わずどこからでも作業できます。当社はOnline Editorを常に改良しており、ユーザーが質の高い作業を行うために必要なすべての機能にアクセスできるようにしています。次のような新機能を備えています。 

Adobe InDesign Preview:お客様から長らくご要望いただいていた、Online Editorでの作業時にIDMLファイルをコンテキストに合わせてプレビューできる機能が、今回リリースする新しいAdobe InDesign Previewアドオンによって実現します。ユーザーは最終形式のファイルをリアルタイムでプレビューでき、完成版を目で見てすべてが正しいかどうかを確認することができます。  

コンテキストに合わせたプレビューは、生成翻訳などのAI機能と組み合わせたときに真価を発揮します。たとえば、マーケターは承認された用語集や過去の翻訳を活用しながら、コンテンツをトランスクリエーションできます。コンテキストに合わせたプレビューを使用すると、どの翻訳候補が訳文ファイルで効果的に機能するかを検証することができます。 


Adobe InDesignのコンテキストに合わせたプレビューを示すスクリーンショット 

SME向けにOnline Editorでの編集モードを簡素化:テクノロジーは常に進化しています。クラウドソリューションの登場で、チームのコラボレーションや情報共有のあり方が変わりつつあります。また、機械翻訳の進歩(特に大規模言語モデルの統合)により、かつてないほど高い精度が実現しています。  その結果、翻訳レビュープロセスでは、大掛かりなポストエディットよりも翻訳の完成度を高める作業が多くなり、専門知識を持つエキスパート(SME)の出番が増えています。 

そこで、当社はプロ仕様でありながら使いやすいツールを求める声を踏まえ、SME向けに特化したシンプルな編集モードをOnline Editorに導入しました。この新しい編集環境により、SMEの負担を増やさずに彼らの専門知識を活用し、レビュープロセスの合理化と全体的な効率化を図ることができるようになります。AI Essentialsアドオンで実装されたSmart ReviewなどのAI機能と組み合わせることで、SMEは翻訳されたコンテンツをこれまで以上に迅速にレビュー、編集、改善できます。 


SME向けの簡易オンラインエディタを示すスクリーンショット 

Trados Studio 2024がリリースTrados Studio 2024がついにリリースされました。業界をリードするこの翻訳支援ソフトウェアの最新バージョンは、40年にわたるイノベーションをベースに構築され、さまざまな分野の進化する多様なユーザーニーズに対応し続けています。Trados Studio 2024では、最先端のAI機能へのアクセス、アクセシビリティ機能の強化、さまざまなユーザビリティ向上を実現しています。Trados Studio 2024のご購入をご希望の方は、オンラインストアで40周年記念の限定キャンペーンをご利用ください。  

今回の四半期ごとの概要はお楽しみいただけましたでしょうか。次回は10月のお届けになります。ぜひ楽しみにお待ちください!機能強化について詳しくは、RWSコミュニティでご確認ください。当社はTrados製品ポートフォリオ全体でクラウドファーストの戦略を継続しており、お客様のビジネス目標の達成に役立つ機能をこれからも積極的に提供していきます。  

Tradosをまだ使用されていない場合は、ぜひ当社のソリューションの詳細についてお問い合わせください。 

Georgina Wheeler
制作者

Georgina Wheeler

Product Marketing Associate
RWSでProduct Marketing Associateを務め、2年間の業界経験があります。最初は個人翻訳者市場を担当し、現在はサプライチェーン全体でTradosポートフォリオのサポートを担当しています。メディアの学士号と国際ジャーナリズムの修士号を取得しています。
この執筆者の全記事: Georgina Wheeler