Trados License Server Managerでネットワークライセンスをアクティブ化または非アクティブ化する際に問題が発生した場合のヒント

島田 智紀 島田 智紀 シニアソリューションコンサルタント 2024年7月2日 読了目安時間:4分 読了目安時間:4分

Trados License Server Managerでネットワークライセンスをアクティブ化または非アクティブ化する際に問題が発生した場合のヒント

Trados Studio Professional Edition には、同一の社内ネットワーク(LAN および VPN)に接続しているPC間でライセンスを共有できるネットワークライセンスという種類のライセンスが提供されており、このネットワークライセンスを管理するツールが Trados License Server Manager です(以下、LSM と呼称します)。

この記事では、LSM でネットワークライセンスをアクティブ化または非アクティブ化する際に問題が発生した場合のヒントをご紹介します。(LSM のセットアップ方法とネットワークライセンスのアクティブ化・非アクティブする基本的な方法については、「Trados License Server Manager セットアップガイド」をご覧ください。)


1. オフラインでアクティブ化したネットワークライセンスを Trados License Server Manager で確認すると [PRODUCT NAME] 列に UNKNOWN と表示される場合

オフラインでアクティブ化したネットワークライセンスを LSM で確認すると、[PRODUCT NAME] 列に UNKNOWN と表示される場合がありますが、ネットワークライセンス自体は正常にアクティブ化されていますので使用上問題はありません。


アクティブ化したライセンスに対応する Trados Studio のバージョンを LSM 上で正しく表示したい場合は、以降を参照の上、ネットワークライセンスの非アクティブ化(リセット)、LSM の最新バージョンへのアップグレード(再インストール)、ネットワークライセンスの再アクティブ化をお試しください。(手順がご不明な場合は、SDL ジャパン株式会社の営業担当までご連絡ください。)


2. Trados License Server Manager上でアクティブ化済みのネットワークライセンス数や使用中のネットワークライセンス数が正しく表示されない場合に正確な情報を確認する方法

ネットワークライセンスをアクティブ化する際に “Object reference not set to an instance of an object” などのエラーメッセージやエラーコード831、999が表示された場合、またはLicense Server Manager画面のPRODUCT NAME列にUNKNOWNと表示される場合でも、実際にはネットワークライセンスが正常にアクティブ化されている場合があります。

そのような場合に、アクティブ化済みのネットワークライセンス数や使用中のネットワークライセンス数を正確に把握したい場合は、以下の方法でSafeNet License Managerから確認することができます。

  1. Trados Licence Server Managerと同じPCにインストールされているSafeNet License Mangerを起動します。(※ Safenet License ManagerはTrados License Server Managerとは別のアプリケーションです。)

  2. 左側のツリーで[Subnet Servers] → <License Server MangerがインストールされているPC名> → [ProfessionalEdition 20XX] (「20XX」はアクティブ化したライセンスに対応するTrados Studioのバージョン番号)を選択します。

  3. [Total users] 行の [Total] 列にアクティブ化済みのネットワークライセンス数が表示され、[In use] 列に現在使用中のネットワークライセンス数が表示されます。

    : [In use] の値はSafeNet License Mangerを起動した時点で使用中のネットワークライセンス数を示し、リアルタイムでは更新されません。最新の値を取得するには、SafeNet License Mangerを再起動してください。

 

3. ネットワークライセンスのアクティブ化または非アクティブ化の際にエラーが表示される場合の対処方法

① Trados Studio または Passolo のネットワークライセンスを License Server Manager でアクティブ化する際、下図のようにエラーメッセージ "Object reference not set to an instance of an object"、エラーコード 831、またはエラーコード 999 が表示される場合

※ 参照元の英語ナレッジベース記事: https://gateway.sdl.com/apex/communityknowledge?articleName=000008185


最初に以下の点を確認します。

  1. Trados License Server Manager を終了し、SafeNet License Manager ツールを起動します(Windows の [スタート] ボタン → [Trados] フォルダ → [SafeNet License Manager (WlmAdmin)] をダブルクリックします)。

  2. 「Subnet Servers」を展開します(プラス記号をクリックします)。

  3. 「The system cannot retrieve the servers, there is no response to the broadcast」というメッセージが表示された場合は、Trados License Server Manager のインストールが不完全で、Sentinel RMS License Manager サービスがインストールされていない可能性があります。この場合は、下記の解決策を実施します。
    User-added image

解決策 A
  1. LSM でアクティブ化済みのネットワークライセンスがある場合は、すべて非アクティブ化します。(※ まとまった本数のネットワークライセンスを非アクティブ化 → 再アクティブ化する場合は、トラブルを避けるために SDL ジャパン株式会社側でネットワークライセンスの一括リセット処理を行いますので、事前に SDL ジャパン株式会社の営業担当までご連絡ください。)

  2. コントロールパネルから Trados License Server Manager をアンインストールし、最新バージョンの Trados License Server Manager を再インストールします(※ 2024 年 7 月現在の最新バージョンである 17.0.648 のインストーラーは https://downloadcentercdn.sdl.com/TP/Trados/T2022/Licensing/SR2_CU10/LicenseServerManager17.0.648.exe から入手できます。)

  3. Trados License Server Manager を起動し、ネットワークライセンスをアクティブ化します。

解決策 B(解決策 A を実施しても問題が解決しない場合):

  1. SafeNet License Manager (WlmAdmin) を起動し、[Tools] → [Service Loader] を選択します。

  2. [Executable path] に C:\Program Files (x86)\Common Files\Thales\Sentinel RMS License Manager\WinNT が表示されていることを確認します。

  3. 上記のパスが表示されていない場合は、このパスを正確に指定して [Add] ボタンをクリックします。

  4. ライセンスが使用中と表示される場合([In Use] 列に 0 以外の数字が表示される場合)は、こちらのフォームからテクニカル サポートにネットワークライセンスのリセットを依頼します。(※ まとまった本数のネットワークライセンスを非アクティブ化 → 再アクティブ化する場合は、トラブルを避けるために SDL ジャパン株式会社側でネットワークライセンスの一括リセット処理を行いますので、事前に SDL ジャパン株式会社の営業担当までご連絡ください。) 

  5. リセット完了の連絡があったら、再度ネットワークライセンスをアクティブ化します。

② Trados License Server Manager 17.0.134 からネットワークライセンスを非アクティブ化する際にエラーメッセージ "Provider error occurred, code: 733. Verify Revocation failed with Error Code 210230" が表示される場合

※ 参照元の英語ナレッジベース記事: https://gateway.sdl.com/apex/communityknowledge?articleName=000022079

Trados License Server Manager 17.0.134 でのネットワークライセンスの非アクティブ化は現在サポートされていません。以下の手順で最新バージョンへのアップグレードを行ってください。

解決策

  1. こちらのフォームからテクニカル サポートにネットワークライセンスのリセットを依頼します。(※ まとまった本数のネットワークライセンスを非アクティブ化 → 再アクティブ化する場合は、トラブルを避けるために SDL ジャパン株式会社側でネットワークライセンスの一括リセット処理を行いますので、事前に SDL ジャパン株式会社の営業担当までご連絡ください。)

    *注:同じサーバーで複数のネットワークライセンスをアクティブ化している場合は、すべてのライセンスをリセットして再度アクティブ化する必要があります。

  2. リセット完了の連絡があったら、Trados License Server Managerの最新バージョン 17.0.648 (2024 年 7 月現在) をインストールします。旧バージョンを使用している場合は、最初に旧バージョンのアンインストールを要求されることがあります。

  3. Trados License Server Manager / Safenet License Manager を終了します。

  4. C:\ProgramData\SDL\NetworkLicensingServer\ に移動し、"2" フォルダを削除します。

  5. C:\Program Files (x86)\Common Files\SafeNet Sentinel\Sentinel RMS License Manager\WinNT に移動し、"lservrc" ファイルを削除します。

  6. SafeNet License Manager (WlmAdmin) を開き、AllowTQA と ProfessionalEdition 機能が [Subnet servers] → <サーバー名> の下に引き続き表示されていることを確認します。表示されている場合は、すべてのバージョンをそれぞれ右クリックし、[Remove Feature] を選択します。

  7. 新しいバージョンの Trados License Server Manager で、ネットワークライセンスを再度アクティブ化します。

  8. 以後はネットワークライセンスの非アクティブがうまく行くはずです。
 

③ ネットワークライセンスを非アクティブ化する際にエラーメッセージ "Error[202]: Lock info is not matching" が表示される場合

※ 参照元の英語ナレッジベース記事: https://gateway.sdl.com/apex/communityknowledge?articleName=000001601

Trados Studio などのネットワークライセンスをアクティブ化する際、ライセンス情報はインストール ID にロックされます。デフォルトで、この ID はコンピュータのディスク ID とイーサネットアドレスから生成されます。ネットワークアダプタやネットワークコントローラなどのハードウェアが変更された場合、このインストール ID に対応するライセンス情報が無効になり、ネットワークライセンスを非アクティブ化する際にエラーメッセージ "Error[202]: Lock info is not matching" が表示されることがあります。

解決策

  1. こちらのフォームからテクニカル サポートにネットワークライセンスのリセットを依頼します。(※ まとまった本数のネットワークライセンスを非アクティブ化 → 再アクティブ化する場合は、トラブルを避けるために SDL ジャパン株式会社側でネットワークライセンスの一括リセット処理を行いますので、事前に SDL ジャパン株式会社の営業担当までご連絡ください。)

  2. リセット完了の連絡があったら、RWS アカウントにログインし、[製品およびプラン] → [ライセンスとサブスクリプション] ページで [使用可能] に表示される数字が保有しているネットワークライセンスの数と一致していることを確認します。


  3. すべての RWS 製品を終了します。

  4. C:\ProgramData\SDL\NetworkLicensingServer\ に移動し、"2" フォルダの名前を "2_OLD" に変更します。

    *重要:次の 2 つの手順は、同じサーバー上で SafeNet ライセンスシステムによってホストされている他のソフトウェアのライセンスが存在ない場合にのみ実行してください。

  5. 以前に Trados License Server Manager を旧バージョンから最新バージョン(17.0.648)にアップグレードした場合は、C:\Program Files (x86)\Common Files\SafeNet Sentinel\Sentinel RMS License Manager\WinNT に移動し、"lservrc" ファイルの名前を "lservrc_OLD" に変更します。

    最初から Trados License Manager の最新バージョン(17.0.648)をインストールしていた場合は、C:\Program Files (x86)\Common Files\Thales\Sentinel RMS License Manager\WinNT に移動し、"lservrc" ファイルの名前を "lservrc_OLD" に変更します。

  6. C:\ProgramData\SafeNet Sentinel\Sentinel RMS Development Kit に移動し、"System" フォルダの名前を "System_OLD" に変更します。

    *重要:同じサーバーで GroupShare をアクティブ化している場合は、ステップ 9 を実行せずにステップ 10 へ進んでください。

  7. SafeNet License Manager (WlmAdmin) を開き、AllowTQA 2019 / 2021 / 2022 または ProfessionalEdition 2019 / 2021 / 2022 機能が [Subnet servers] → <サーバー名> の下に引き続き表示されていることを確認します。表示されている場合は、それぞれを右クリックし、[Remove Feature] を選択します。

  8. オンラインまたはオフラインでのアクティブ化手順を使用して、Trados Studio ネットワークライセンスをアクティブ化します。

  9. ユーザーのマシンで Trados Studio 2019 / 2021 / 2022を再び起動し、ライセンスサーバーに再接続します。
タグ
Trados
島田 智紀
制作者

島田 智紀

シニアソリューションコンサルタント
RWSでTrados製品のコンサルティングをしております。
Trados認定トレーナー。
この執筆者の全記事: 島田 智紀