Trados Studioで効率的に原文文書と訳文文書を整合(アライン)して翻訳メモリを作成するためのヒント

島田 智紀 島田 智紀 シニアソリューションコンサルタント 2024年12月12日 読了目安時間:2分 読了目安時間:2分

Trados Studioで効率的に原文文書と訳文文書を整合(アライン)して翻訳メモリを作成するためのヒント

Trados Studioには、過去にTrados Studioを使わずに翻訳した文書の原文ファイルと訳文ファイルのテキストどうしを紐づけて翻訳メモリを作成する機能があります。これを「整合」または「アライン」と言います。

詳しい作業方法は翻訳メモリの作成ガイドの第2章でご紹介していますが、今回はこの整合作業をより効率的に行うためのヒントをご紹介します。


1. 大きい文書はあらかじめ分割しておく

整合する文書のサイズが大きければ大きいほど、文書の後ろの方に行くにしたがって自動整合の「ずれ」が大きくなり、手動での修正が大変になります。

整合する文書が数十ページから数百ページに及ぶような場合は、章、セクション、段落などを基準にして、整合する原文ファイルと訳文ファイルをそれぞれ適切なサイズにあらかじめ分割しておくと整合作業がより効率的になります。


2. 原文ファイルおよび訳文ファイルの各セクションの前に「0000」のような数字のみの行を追加しておく

Trados Studioは原文ファイルと訳文ファイルのテキストを自動で整合する際に、様々な要素(文の長さや書式や構造など)を手掛かりにして原文と訳文の対応関係を判断しますが、数字もその際の大きな手掛かりになります。

原文ファイルと訳文ファイルをそのまま自動で整合したときに「ずれ」が大きくなってしまう場合は、下図のように、あらかじめ原文ファイルと訳文ファイルの各段落や各セクションの前に「0000」のような数字のみの行を追加しておくと、各段落の開始位置が明確になるため、自動整合の「ずれ」が比較的小さくなります。

このように加工した原文ファイルと訳文ファイルをTrados Studioに自動整合させると、下図のように、「0000」の行は確実に正しく紐付けられていることがわかります。

自動整合の結果に多少の「ずれ」が生じている場合でも、「0000」から次の「0000」までの間を超えて「ずれ」が起こることはないため、手動での修正がより効率的になります。


3. 自動整合の結果をいったんすべて切断し、5~10分節おきに手動整合を行った後に「再整合」を行う

上記1、2の方法を取っても自動整合の「ずれ」が非常に大きい場合や、何らかの理由により上記1、2の方法を取れない場合は、以下のようにすることで、自動整合結果の修正を効率化できる可能性があります。

  1. 上部リボンの [すべて切断] ボタンをクリックして自動整合の結果をいったんすべて切断します。


  2. 5~10分節おきに文書の最後まで手動で整合を行った後、上部リボンの [再整合] ボタンをクリックします。


  3. 手動で紐づけを行った分節の間にある未整合の分節が自動で整合されます。この場合も、手動で整合を行った分節と分節の間を超えてずれが発生することはないため、自動整合結果の修正がより効率的になります。
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島田 智紀

シニアソリューションコンサルタント
RWSでTrados製品のコンサルティングをしております。
Trados認定トレーナー。
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