新しい営業プラットフォーム:営業部門とPMO(プロジェクト管理部門)の連携がもたらすパワー

Jessica Rathke氏 2013年7月9日 読了目安時間:4分

私は、前回の記事でベンダーと顧客の連携がもたらすパワーにスポットを当てました。そこでは、言語サービスプロバイダとのビジネス関係を維持するために非常に高度な連携を必要とする、極めて特殊な顧客の状況が浮き彫りになりました。顧客とこのレベルの連携が実現するのは、言語サービスプロバイダの全社員、特に営業部門とプロジェクトマネージャー(PM)が高度に連携している場合のみです。私には、部門の垣根を越えた連携の重要性が高まっているとしか思えません。顧客側では、重要なビジネス課題に取り組む時間の確保がますます難しくなっています。そのため、営業部門とPMの連携は、顧客を獲得・維持できる魅力的なソリューションを開発する上で重要な要素の1つとなるのです。

2つの部門間に緊張がないわけではありません。それぞれが、「約束をする」、「約束を守る」という異なる役割を持っています。健全な緊張感なら、両部門は「誠実」に、また現実に根差して取り組み続けることができます。この緊張感はうまく管理できれば、創造力や成長の妨げではなく、企業を前進させるパワーになります。個々の営業担当者とプロジェクトマネージャーは適切に連携する責任を負います。一方、経営陣は、部門の垣根を越えた高度な連携を可能にし、時おり見られる確執や不信感が生じないようにする重要な役割を担います。

では、連携を促進するために経営陣ができることは何でしょうか?

第1に、経営陣は営業部門とPMOの立場が平等になるようにする必要があります。「約束をする」側と「約束を守る」側、楽観的な営業部門と悲観的なPMO、これらの相反する部門のバランスを取り、自信を持って異なる視点の意見を発せられるようにすることで、企業の健全性は保たれます。どちらかの立場が強すぎると、成長速度が鈍るか、まったく成長できなくなる可能性があります。PMOの柔軟性に欠ける保守的な体質は、営業部門が行う不可能な約束と同じくらい、企業の成長を妨げかねないのです。

第2に、経営陣は、各部門の目標とインセンティブを、対立するものではなく、確実に同期するものにする必要があります。簡単そうですが、実際にはそうとは限りません。たとえば、コストを(ほぼ)問わず新規事業を獲得するよう営業部門をけしかけつつ、収益目標を達成できないとPMOに厳しいペナルティを科すことは、協力ではなく確執を生みます。このモデルにより、さまざまなプロジェクトが失われてきました。また、営業部門に対し、獲得すべき顧客について十分な指示を出さないと、会社の生産能力にあまり適さないプロジェクトを受注してしまうことがあります。営業部門は達成できない約束をする可能性があり、その結果、「解約や資本燃焼」が起きてしまいます。逆に、プロジェクトの利益率を重視しすぎると、会社のサービスを拡大させる新しい専門性やテクノロジーを獲得しづらくなり、営業部門が発展の機会を断念せざるを得なくなることがあります。いずれの場合も、2部門間で不信感が瞬く間に拡大し、それぞれが独自の目的と見解を推進するようになり、企業の成長能力に悪影響を与えます。

部門の垣根を越えたトレーニングは、各部門が互いに持っている固定観念を克服するのに役立ち、連携の促進に大きな効果をもたらします。プロジェクトマネージャー(PM)が顧客に直接対応すると、営業部門の仕事が多額の出費と娯楽が絡む楽なものではないと理解できます。顧客の獲得は、今日の厳しい市場においては特に、容易ではないのです。逆に、営業担当者がPMに付き添ったり、プロジェクト運営をサポートしたりすると、長年疑ってきた「プロジェクト運営の難しさ」を実感できます。翻訳者やその他のさまざまなリソースの調整は簡単そうに見えて、実は悪夢のような作業になることがあるのです。相互に理解し、尊重し合うようになると、協力できるようになります。

部門の垣根を越えたコミュニケーションを奨励し、促進する役目を負うのは、経営陣です。2部門が定期的に顔を合わせることがコミュニケーションの促進に役立つのは明らかなのですが、私の経験では、多くの組織がそれを忘れているようです。また、会社のさまざまな取り組みのために部門の垣根を越えた特別部門を構成することも、部門間の緊張や疑念を克服するチーム構築のいい練習になります。相互理解は、効果的なコミュニケーションによってのみ生まれるのです。

連携のメリット

営業部門とPMOの連携における最大のメリットの1つが、顧客にとってより洞察に富んだソリューションを開発できることです。営業担当者には、今日の顧客が求める魅力的なソリューションを開発するための技術的知識が不足していることがよくあります。これに対し、プロジェクト担当者には、顧客が翻訳サービスから得る成果を理解するための市場知識やビジネス知識が不足していることがよくあります。両者の知識を組み合わせることで、他のサービスプロバイダと差別化し、より多くのビジネスを獲得できる、創造的なソリューションを実現できます。

営業部門とPMOが高度に協力し合えば、成功するプロジェクトが増えます。営業部門は、PMOが提供する数値を信頼し、その意味を理解できるため、より適切に交渉できます。つまり、顧客にソリューションをより適切に説明できるのです。PMOは、収益目標達成というプレッシャーが軽減され、そのための手抜きという誘惑からも解放されるため、満足度が高まります。成功するプロジェクトが増えれば、収益性が向上し、長期にわたる固定客も増加するのです。

前回の記事で取り上げたように、営業部門とPMOの強力な連携も、言語サービスプロバイダ自体の変化を促すパワーになる可能性があります。連携の障壁が排除されると、両部門の担当者は、それぞれの部門の目的達成を推進するよりも、顧客ソリューションの開発に重点を置くようになります。たとえば、顧客の要件を満たすための新しいツールの購入やそのコストの負担について口論するのではなく、営業部門とプロジェクトマネージャーが協力し、経営陣に対し、それぞれの目的ではなく、顧客や言語サービスプロバイダのメリットにフォーカスしてコストの正当性を説明するようになります。

協力し合えるチームは顧客の要望に応えようとするため、協力しないと実現できない創造的なソリューションを開発できます。部門の垣根を越えたチームからは、会社の方向性、プロジェクトの運営方法、提供するサービスの選択(場合によっては新しいサービス)に重大な影響を与える可能性がある新たなアイデアが経営陣に提案されるでしょう。これで、会社の将来が保証されます!

まとめ

今日の競争の激しい環境で成功するため、営業部門とプロジェクト管理部門は互いをこれまで以上に必要としています。営業担当者は、顧客の視点から会社を差別化するために、プロジェクト管理の技術面とプロセス面の専門知識を必要としています。プロジェクトマネージャーは、顧客の問題や、目標、購入基準について、そして言語サービスプロバイダのソリューションをこれらに合わせて調整するために、営業担当者のインサイトを必要としています。営業部門とPMOが顧客のメリットのためにそれぞれの強みを結集し、会社の将来を保証できる環境を育めるかどうかは、経営陣の肩に掛かっています。

Jessica Rathke氏
制作者

Jessica Rathke氏

Sales Consultant、Fluent Sales
34年以上にわたり、大手翻訳会社でローカリゼーションの営業と営業管理、またマーケティングの分野に携わってきました。現在は、Fluent Salesの営業コンサルタント、コーチ、トレーナーとして活躍しています。
この執筆者の全記事: Jessica Rathke氏