Project Managers are heroes

ローカリゼーションプロジェクトマネージャーが「ヒーロー」である理由

今後数週間にわたり、翻訳業界の影のヒーローであるプロジェクトマネージャーにスポットライトを当てていきます。SDLでは、翻訳プロジェクト管理について、ハウツービデオやeGuide、ウェビナーなど、さまざまな役立つリソースをまとめています。いずれも、一般的な課題に直面し、取り組んでいるプロジェクトマネージャーをサポートする目的で作成されています。SDLの新しいプロジェクトマネージャーハブでは、すべてのリソースをご覧いただけます。
プロジェクトマネージャーが真のヒーローである理由を現場で探るため、翻訳サプライチェーンでさまざまな役割を担っている人々に、自分たちにとってプロジェクトマネージャーが重要な理由、優れたプロジェクトマネージャーが備える資質、プロジェクトマネージャーへのアドバイスを尋ねました。

Jeremy Young - テクニカルローカリゼーションプロセスコンサルタント(TLPC)

テクニカルローカリゼーションプロセスのコンサルティングでは、プロジェクトマネージャーと密に連携し、新規顧客獲得、テスト翻訳、RFP、アカウント最適化の進行をサポートします。私たちにとって、プロジェクトマネージャーから渡される主要顧客情報やアカウント情報のフィードバックは非常に重要です。これらの情報に基づき、顧客対応を検討する際に使用するツールやテクノロジー、手法を判断します。
優れたプロジェクトマネージャーは、プロジェクトチーム全体をまとめるだけでなく、チーム内の各メンバーが担う役割をすべて明確に把握しています。
一般的なプロジェクトには、さまざまな翻訳者、コンサルタント、テクニカルサービスが関わります。よって、プロジェクトマネージャーは、複雑だったり技術的だったりする情報がチーム内でいつどのように伝達されているのかを正確に把握することが重要です。技術的な問題をプロジェクトマネージャーがしっかり把握して効果的に話し合うことができなければ、顧客をサポートしてそのニーズを満たすことは難しくなります!

Neeltje Stuurman - 言語プロセスコンサルタント(LPC)

プロジェクトマネージャーは、あらゆるローカリゼーションプロジェクトにおいて要の存在です。顧客と翻訳者の間だけでなく、ローカリゼーションに関わるすべてのチームの橋渡し役となります。この困難な役割がさらに複雑になるのは、関与するすべての部門が収益を挙げられるようにする必要があるからです。

この目的を達成するため、優れたプロジェクトマネージャーならプロジェクト全体を完全に掌握できなくてはなりません。顧客の要望に応えるだけでなく、顧客に必要なものを提供することが、プロジェクトマネージャーにとって非常に重要です。

顧客に適したベストプラクティスを最適化する役目を負うLPCチームにとって、プロジェクトマネージャーは大きな支えとなります。この支えがあるからこそ、顧客に原文の最適化方法や用語集の管理方法をアドバイスする場合も、顧客の要件を満たす最適なプロセス、手順、設定を判断するプロジェクトマネージャーをサポートする場合も、作業をはるかに容易かつ効果的に進められ、積極的に行動できるのです。 
プロジェクトマネージャーにアドバイスしたいのは、第一にプロジェクトの全体像を正確に把握できるようにすることです。
そうすることで、潜在する問題を、実際に影響が出る前に特定できます。そして第二に、1人ですべてを背負い込まないことです。社内や翻訳会社には、経験や知識が豊富な人材がほかにもいるはずです。そのような人材をフルに活用し、意見を聞いてみてください。意見を聞くことで相手はチームの一員だと感じ、同じ目標を目指すチームとして結束が強まります。そのようなチームは、能力を最大限に発揮し、最高の結果を達成することができます。

Helga Petzel - リード翻訳者

プロジェクトマネージャーは、顧客と翻訳者の橋渡し役です。顧客と翻訳者の双方にファイル、情報、クエリ、回答を提供して互いの理解を促し、プロジェクトが円滑に進むようにします。問題が発生した場合は、顧客の無理な要求に難色を示す翻訳者をサポートしなければならない一方で、当然のことながら顧客を満足させる必要もあります。両者間で絶妙なバランスを取るため、かなりの交渉スキルが求められます。
優れたプロジェクトマネージャーは、異なる段階の全プロジェクトを適切にまとめ、追跡し続けます。
優れたプロジェクトマネージャーは、プロジェクトの開始時に必要な情報や、納品のリマインダーの送信タイミングを把握しています。優れたプロジェクトマネージャーは、すべてのツールやプロセスを完全に知り尽くし、効率的に使用できます。そして何より、優れたプロジェクトマネージャーは、ほぼ常にプレッシャーがかかっているにもかかわらず、いつも元気です!

プロジェクトマネージャーがいなければ、翻訳者は顧客に直接対応し、時間のかかる管理業務をすべてこなさなくてはなりません。こうしたことから翻訳者を解放するのが、プロジェクトマネージャーです。 

プロジェクトマネージャーがいれば、翻訳者は本業の翻訳に集中できます!

プロジェクトマネージャーは、実用的なあらゆるスキルを駆使しながら、翻訳者にちょっとした気配りをする必要もあります。プロジェクトマネージャーには、翻訳者が作業に集中したい状況を見極め、「念のための連絡」を送信するのを控えたり、適切な語調のメールを送信したりすることが求められます。忙しいときに絵文字ばかりのメールを受け取ると、イライラしてしまいます!

Michelle Chen - 専門知識を持つエキスパート(社内レビュアー)

専門知識を持つエキスパート兼レビュアーである私にとってプロジェクトマネージャーは、作業の進捗状況の追跡をサポートしてくれたり、ファイルの引き渡しから納品までのプロセス全体を管理してくれたりする存在です。
優れたプロジェクトマネージャーは、プロジェクトに関して深い知識を備え、全体像を把握できる必要があります。
新たにプロジェクトマネージャーになる人にアドバイスするとしたら、プロジェクトを完了まで管理するだけでは不十分と言いたいです。プロジェクトマネージャーは、各プロジェクトの完了後にそのプロジェクトで学んだ教訓や体験を良し悪し関係なくまとめ(同じ間違いを繰り返さない方法や、同じ問題が発生したときの対処方法など)、以降のプロジェクトを向上させ続けていくために役立てる必要があります。

Yanjun Yu - デスクトップパブリッシング(DTP)リード

翻訳者やレビュアーに加え、DTP部門も、高品質なローカリゼーションを顧客に提供するためにプロジェクトマネージャーと連携します。翻訳者が翻訳したコンテンツを、元のコンテンツのレイアウトと一致させるのが、DTPです。両者が協力し、最高品質の納品物を顧客にお届けします。プロジェクトマネージャーは、この関係の中心で顧客、翻訳者、DTPをつなぐ要の役割を果たします。プロセス全体を円滑に進めるため、顧客のニーズを理解できるようにDTPをサポートすると同時に、DTPの提案を顧客に伝えます。
多言語プロジェクトを手掛けるプロジェクトマネージャーにアドバイスしたいのは、翻訳済みファイルをDTPに渡すときに、可能な限り、1ファイルずつではなく、言語ごとにファイルをまとめて送信することです。
こうすることで、プロジェクト全体の作業量が減り、作業効率が向上します。

Silvio Scozzari - ローカリゼーションディレクター/顧客

プロジェクトマネージャーは、私のローカリゼーションバイヤーとしての要件を満たすうえで重要な役割を果たしています。こちらから依頼したプロジェクトにおいて、翻訳資産の初回受領から、解析、見積もり、最終納品までのあらゆる側面を調整・管理する責任を負います。  

単一窓口となるプロジェクトマネージャーがいなければ、ローカリゼーションプロジェクトに関わるベンダー内のすべての部門、つまり翻訳者チーム、エンジニアチーム、デスクトップパブリッシングチームを調整することは不可能です。プロジェクトマネージャーは、プロジェクトと納品物だけでなく、予算や人材、プロセス/ワークフロー効率化テクノロジーも管理します。 
ローカリゼーションのベストプラクティスに反するプロジェクトを依頼された場合は、常にプロジェクトマネージャーは疑問を投げかけ、異を唱えることをアドバイスします。
みなさんはエキスパートです。お客様である必要はありません。高品質で言語学的に正確なローカライズのために自分の知識や経験を提供する必要があります。 

ご協力くださった方々に感謝申し上げます。読者の皆様には、翻訳プロセスにおけるプロジェクトマネージャーの重要性を実感していただけたら幸いです。 

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