
各機能の紹介には関連ブログのリンクを記載していますので、合わせてご覧ください。
■Trados Studio 2019■
・Tell Me(検索ボックス)と役立つヒントタブ
Trados画面右上に青い検索ボックスが追加されました。
ボックスをクリック(ショートカットキー:「Alt+Q」)すると検索画面が起動し、タイプをしてコマンドを検索することができます。該当のコマンド名をクリックすると、該当画面へすぐにジャンプすることができます。Tradosには2,000以上コマンドや設定項目があり、行いたいコマンドを瞬時に見つけたい場合に便利です。
また、画面右に「役立つヒント」というタブが追加されました。
ヒント情報は左下のビュー(ようこそ、プロジェクトなど)と連動しており各ビューに役立つ情報がまとめて表示されます。特に初心者の方に役立つ機能です。
・プロジェクト作成画面が使いやすく
プロジェクト作成画面のデザインが変更され、上部に各ステップへジャンプできるボタンが追加されました。必要な設定だけを行いプロジェクト作成を「完了」することができ、最後まで「次へ」をクリックし続ける必要はありません。コーディネーターなど、プロジェクト作成を多く行う方にとって使いやすくなりました。
・原文の更新が簡単に
翻訳途中に原文が更新・変更されることって、ありますよね。その場合新しい原文を追加するだけで、情報を引き継ぐことができるようになりました。該当プロジェクトのファイル一覧画面にて、右クリックをし「ファイルの追加」>「ファイルのクイック追加」から新しい原文ファイルを追加するだけです。
ファイルを追加後に一括翻訳が自動で行われ、エディタ画面を開くと途中まで作業した情報が引き継がれます。新しい原文ファイル上で作業を再開することが可能です。
※完全一致(バイリンガルファイルから)ではなく、翻訳メモリからデータを引き継ぎます
※途中まで作業したデータは全て翻訳メモリへ登録されている必要があります
・整合の操作性向上
「整合」は翻訳済みの過去の原文ファイルと訳文ファイルのペアを翻訳メモリへ登録する操作です。
2019では以下の操作ができるよう改善されました。
-分節の分割(カーソルを合わせた位置で分割されます)
-空の分節を前後に挿入(自由にタイプできます)
-原文と訳文の修正(自由にタイプできます)
-選択した分節のみを切断(全て切断されることを防げます)
-確認済みの分節を確定
-1:5までの接続
☆翻訳メモリの精度が向上(注目ポイント!)
Trados Studioでは翻訳メモリの技術が進化しており、より精度の高い検索を行うことが可能です。
①コンテキスト一致とあいまい一致の向上
コンテキスト一致とあいまい一致の精度が向上し、従来はマッチしなかったあいまいマッチも検索ができるようになりました。 構文解析という技術が導入され、単純な文字数の比較ではなく部分的な考慮を含めた柔軟な検索になっています。こちらは、2015ではマッチしない候補が2019で表示されている例です。
②語幹解釈の向上
主に欧州言語が原文の際、語幹以降が変化する場合(動詞の活用など)に従来は全く異なる単語として認識されていましたが、語幹が同じものをより柔軟に認識できるようになりました。これにより従来はマッチしない候補が出てくるようになります。また複数/単数形などの違いも認識をし、マッチ率の低下を防ぐことができます。
こちらは、ドイツ語原文で単語が活用している際にも候補が出ている例です。
③全角/半角の認識
日本語の数字とカタカナの全角/半角を認識できるようになりました。(従来は異なる文字として認識されていました) 全角/半角の違いには、自由にペナルティを設定することも可能です。以下の例では、全角/半角の違いに1%のペナルティを設定し99%マッチで候補が出ています。

・検証レポートに対訳情報を表示
検証(QAチェック)後のレポートに対訳情報が表示されるようになりました。「レポート」ビューでレポートだけを確認する場合でも文脈を見ながら確認が可能です。 各エラーの分節番号をクリックすると、「エディタ」ビューの該当分節にジャンプし編集をすることができます。

・QAチェックを言語ペア毎に設定可能
プロジェクトの設定で、言語ペアの下に「検証」項目が追加されました。例えば、「英→日」と「日→英」でチェック項目が違う場合などに、それぞれの言語ペア毎に検証設定を残すことが可能です。
全体の検証設定よりも言語ペアの検証設定が優先されて使用されます。

・分節の全選択ボタン
「エディタ」ビューで左上のセルをクリックすると、全分節を選択できるようになりました。
(選択したセルは以下のように色がつきます)
分節ステータスの変更や原文コピーを一括で行いたい際に便利です。

・レビュー時の表示切り替え
レビュー用にファイルを開いている際に、変更履歴の表示変更が可能になりました。
上部「レビュー」タブにある以下のアイコンから切り替えができます。
-マークアップを表示(変更履歴を表示)

-マークアップなし(変更履歴を表示せず、修正後のテキストのみを表示)

-元を表示(修正前のオリジナルテキストを表示)

※バイリンガルファイルには変更履歴が記録されます
・翻訳メモリビューの改善
「翻訳メモリ」ビューで翻訳メモリの中身を確認する際に、1画面に最大1,000分節まで表示ができるようになりました。また任意のページや最後のページへもジャンプできます。
翻訳メモリの中身をメンテナンスする際などに使いやすく改善されています。

【2019で追加された取り込みファイルフィルタ】
・Microsoft Visio
・Adobe Photoshop
・Markdown
・XML version 2
■Trados Studio2017■
☆upLIFT(注目ポイント!)
upLIFTはTrados Studio 2017(日本語は2017 SR1)から追加された翻訳メモリの新しい技術です。TMに登録された分節を部分的にも認識できるようになり、従来よりも多くのマッチを翻訳メモリから見つけることができます。upLIFTには以下2つの機能があります。
①フラグメントマッチ
通常翻訳メモリは1分節全体を比較しマッチする候補を表示します。
フラグメントマッチでは分節の一部にマッチがあれば候補を表示することが可能です。
これにより1文全体としてはマッチがない場合にも部分的に翻訳メモリを活用することが可能です。

②あいまい一致の修正
翻訳メモリから90%マッチなどの類似が見つかった場合、通常は手動で10%分を修正・追加する必要があります。あいまいマッチの修正を使うと、工具のマークがアイコンに表示され差分を自動で修正することが可能です。

upLIFTを使うには事前に設定が必要です。詳しくはこちらのブログをご参照ください。
https://www.sdltrados.com/jp/blog/upLIFT-JP.html
・「ようこそ」ビューで原文ファイルをドラッグ&ドロップし取り込める
プロジェクト作成時に、原文ファイルをドラッグし「ようこそ」ビューにドロップをすることでプロジェクト作成を開始できます。

また、Windowsエクスプローラー上で直接原文ファイルを右クリックし「Translate in SDL Trados Studio」を選択してもTradosへ取り込めます。

・UIデザインとアイコンの更新(SR1)
従来のバージョンから各コマンドのアイコンや色などが更新されています。新しい会社のロゴ(アスタリスク)も含まれていますよ。

・LookAhead
2つ先の分節まで事前に翻訳メモリから検索をする機能です。ONにすることで次の分節へ移動した際に瞬時に検索結果が表示されます。TM容量が大きい際や、参照するTMの数が多い場合に有効です。

・段落を超えた分節の結合
プロジェクトの設定で分節の結合を許可すると、段落をまたいだ分節も結合できるようになります。

結合したい分節を2つ選択し、右クリックから「分節の結合」で実行できます。
・高度な表示フィルタ
画面右側に「高度な表示フィルタ」タブが追加されています。フィルタを使用すると、特定の条件に該当する分節のみを表示することが可能です。
従来のフィルタに比べ、高度なフィルタでは以下の操作が可能です。
・複数の属性を組み合わせることができる
・コメントの作成者と内容、文書構造でも抽出が可能
・正規表現も使用できます
【2017で追加された取り込みファイルフィルタ】
・PDFのOCR機能(アジア言語に対応)
スキャンをした画像PDFを取り込む際に、標準でOCR変換が適用されます。OCRとは画像に含まれるテキスト情報をテキストデータへ変換する技術です。取り込んだ画像のPDFデータはテキストデータに変換されWord形式で出力されます。日本語を含むアジア言語でも対応が可能となりました。
■Trados Studio 2015■
・レビュー済み訳文ファイルからの更新
訳文を生成後に直接訳文上で修正を加える場合(例えばWord上で直接修正)、その訳文を再度取り込みTrados上の訳文へ反映させることが可能になりました。
「一括タスク」の「レビュー済み訳文ファイルからの更新」からインポートが可能です。
・翻訳品質評価(TQA)
TQAは翻訳の品質を客観的に評価する機能です。評価項目にスコアを設定し、翻訳全体に対するスコアを算出することができます。LISA QA、TAUS DQF、SAE J2450、MQMなど翻訳業界標準の言語モデルテンプレートから翻訳品質の枠組みを選択することができます。またニーズに合わせてこれらのモデルをカスタマイズすることも、さらには独自のモデルを構築することもできます。
以下は、サンプルのTQAレポートです。各項目にはスコアが設定されており、合計のスコアから合格かを判断します。(項目、スコア、合否基準はカスタマイズ可能です)
翻訳者や機械翻訳(MT)の精度を客観的に評価する際に活用できます。
・ロック済み分節を解析レポートから除外
解析レポートにロック済み分節を含めない設定ができるようになりました。
翻訳対象外にしたい分節をロックしている場合に便利です。
・リボンのカスタマイズ
画面左上の小さい矢印ボタンをクリックし、「カスタマイズ」を選択すると上部リボンをカスタマイズできるウィンドウが起動します。よく使う機能や、SDLAppStoreからご自身で追加したプラグイン機能の表示をカスタマイズすることができます。「新しいグループ」からよく使う機能をまとめると便利です。
・訳語検索結果からの用語登録
Tradosでは、任意で選択したテキストを翻訳メモリ内で検索する「訳語検索(ショートカットキー:F3)」という機能があります。訳語検索をする際に、用語ベースに未登録の単語は訳語検索結果ウィンドウ上ですぐに登録が可能です。以下は、「power」を検索し翻訳メモリ内で「電源」に訳されている分節があるので、このペアを用語ベースへ登録しています。
【2015で追加された取り込みファイルフィルタ】
・Microsoft Office 2016
・バイリンガルExcel
バイリンガルExcelでは原文列と訳文列を指定し取り込めます。
対訳Excelから翻訳メモリを作成することもできます。
・MadCap Flare files
・Portable Object (PO) files
・SubRip (subtitling) files
・AuthorIT XML files
このようにTrados Studioは日々進化を続け、ユーザの皆様に役立つよう改善を加えています。
ご自身にとって活用できる機能がありましたら、ぜひ最新バージョンを試してみてください。
■Trados Studio2019の30日間の無料トライアル■
http://www.sdltrados.com/jp/products/trados-studio/free-trial.html
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