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~Trados Studioってなに?~ 第3回「用語ベース」

皆さんこんにちは! RWSグループ、SDLジャパンでTrados Studioの営業を担当している西海(さいかい)と申します。このブログでは、翻訳業務に携わる方・翻訳ツールにご興味をお持ちの方向けにTrados Studioという翻訳ツールについてどんなツールなのか、また使うとどんないい事があるのかをわかりやすくご紹介していきます。

「用語ベース」ってなに?

第3回は「用語ベース」を紹介します!

用語ベースは翻訳メモリと並ぶとても大事な機能の1つで、用語や句を登録するデータベースです。第2回で紹介した翻訳メモリとは異なる種類のデータベースですので別途、作成と管理をします。用語ベースは「この用語に訳す必要がある」という決まった用語を登録するデータベースです。用語ベースに登録されている用語を使うことで、訳文全体の用語を統一することができます。

用語ベースに登録をするものとしては、業界用語や会社独自の用語、製品名や固有名詞などが代表的です。お客様の目に触れる文書では用語がキレイに統一されているといいですよね。最近は医療翻訳に出てくる医療用語や特許申請文書の法律用語などの統一にもTrados Studioが広く活用されています。

Excelなどで既に用語を管理している人もいるかもしれませんが、Excelウィンドウを別途開き検索をする必要があり、また人の目によるチェックでは統一するべき用語を見落とす可能性がありますよね。Trados Studioで用語ベースを使用すれば、自動で検索を行うことができ、機械的に用語をチェックしながら翻訳を進めることが可能です。

これで見落としなく、簡単に用語を統一できますよ!
それでは、詳しく見ていきましょう。

用語ベースってどう使うの?

用語ベースは翻訳メモリと同様、翻訳したい文書に紐付けて使用します。
該当の候補があれば自動で候補が表示されるので、流用していきます。

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例えば、プリンタ製品のマニュアルを翻訳する場合を想定してみましょう。
下記のように用語を登録しておきます。

【用語ベースの中身】(3つのペアを例として表示しています)

1photo printer写真プリンタ
2color cartridgeカラーカートリッジ
3Adapterアダプタ

【原文の中に「photo printer」という用語がある場合】

用語ベースには「photo printer」の登録がありますので、訳語の「写真プリンタ」が候補として表示されます。翻訳者は該当部分に正しく「写真プリンタ」を挿入します。
イメージはこんな感じ!

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例えば、「Finding a location for your photo printer」という一文だったとすると、「写真プリンタの設置場所」と正しい用語を使用し訳文を完成させます。
実際の画面では該当の「photo printer」部分には赤い線が引かれますので、用語の登録があることはすぐにわかります。少し先でお見せしますね。

【原文の中に「photo printer」という用語があるが正しく訳語を使用しない場合】

訳語の候補として「写真プリンタ」が表示されますが、うっかり「フォトプリンタ」と入力してしまいました。そんな時はTrados Studioはエラーを表示し正しく訳語が入っていないことを翻訳者に知らせてくれるので、正しい用語に修正をすることができます。
ココは人の目ではチェックが漏れる可能性がある部分ですね!

【「photo printer」という用語に対し、複数の訳語がある場合】

文書のタイプや状況に応じて、複数の訳語を使用したい場合がありますよね。例えば製品Aでは「写真プリンタ」と訳すのが通常で、製品Bでは「フォトプリンタ」と訳すのが好ましいとします。用語ベースは「1:多」で用語を登録することができるので、以下のように用語を登録します。

1photo printer写真プリンタ
フォトプリンタ

この場合、原文に「photo printer」があると訳語の候補が2つ表示されるので、どちらを使えばいいの?と心配になるかもしれませんが、用語ベースでは用語に対しメモ情報を追加することもできますのでご安心を。例えばこんな感じ。

1photo printer写真プリンタ
製品Aではこれを使う
フォトプリンタ
製品Bではこれを使う

これでどの用語を使うべきかすぐに判断できるので安心ですね。
別の翻訳者と用語ベースを共有する場合にも、このような情報があるとどの用語を使えばよいのかすぐに判別できるので、社内全体で用語を統一できます。
またメモ情報以外にも、画像を登録し用語のイメージを理解しやすくしたり禁止用語を登録しておくこともできます。気が利きますねぇ!!

用語ベースは翻訳メモリと同じく、複数作成することが可能ですので、文書タイプ(議事録用、マニュアル用、契約書)やジャンル毎に分けることができます。
もちろん翻訳の際は複数の用語ベースを使用することが可能です!

Trados Studio上で用語ベースを見てみよう

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②用語ベースの検索結果を表示するウィンドウです。

用語ベースの登録用語がある場合は②の用語ベースウィンドウに候補が表示されます。

3-4 

例えば、2番目の分節を翻訳しようとすると原文内の「photo printer」の上に赤線が引かれています。これは用語ベースに登録がある用語を示しており、用語ベースウィンドウに訳語の候補が表示されます。この場合「写真プリンタ」という候補がありますので訳文側に正しく「写真プリンタ」を適用します。

用語の挿入はショートカットキー(Ctrl+Shift+L)を使用できるので、コピペやタイピングをしなくても入力が可能ですよ。ショットカットキーを使用すると作業スピードがUPしますのでぜひ活用してみてくださいね。

【うっかり間違えて用語を使用した場合】

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真ん中のステータスの列に三角のエラーマークが出るので、エラーマークにカーソルを合わせるとエラーの中身を確認できます。上の例では、「photo printer」の訳語を正しく使っていないことを教えてくれています。ここで翻訳者は用語を正しく使っていないことに気づき、「写真プリンタ」と正しく修正することができます。

ちなみに、このエラーはON/OFFを設定で変えることができます。また一文ずつのチェックに加え、最後に文書全体に対しエラーをチェックすることもできますよ。

どうですか、手動で用語を管理するよりも便利ですよね?

用語ベースのメリット

用語ベースを使用するメリットは主に3つあります。
①時間を短縮
用語を検索しコピーをする必要がなく、自動で用語を検索できます。
②用語の統一を実現
登録をした用語を簡単に確認できますので、用語を統一していくことができます。
③チェック漏れを防ぐ
人の目では見落としがちな用語のチェックを機械的に行えますので、漏れのない用語の統一を図れます。

Excelファイルとの互換性

用語ベースはExcelと互換性があり、「用語ベース⇔Excel」間を簡単に行き来できます。
Excelで以下のようなフォーマットで用語の登録をしておけばすぐに用語ベースに変換できます。 

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1行目をタイトル行とし、A列に英語の用語、B列に日本語の用語、C列にメモ情報、のようなレイアウトです。用語ベースはマルチ言語での作成が可能ですので、D列にフランス語、E列に中国語、などと列を追加していくこともできます。 

一括で用語の修正や追加を行う際はExcel上で編集をすると作業をしやすく、再度用語ベースに戻すことで最新の状態に更新できます。
(Trados Studio上で翻訳中に用語ベースを編集することも可能です)

Excelから用語ベースを作成するにはGlossary Converterという無料ツールを使うと便利です。
手順はこちらをご確認ください。
https://www.trados.com/jp/blog/how-to-use-glossary-converter.html

属性の追加

用語ベースには、属性情報(メモ、画像など)を追加することでより高度な管理をすることが可能です。少しアドバンスな内容ですが、こちらのブログからご覧ください。

最後に

用語を手動で管理、もしくは記憶に頼り行っている方は、用語ベースのメリットを大きく実感していただくことができると思います。キレイに統一した訳文ができればお客様からも信頼を得られますよね!ぜひトライアルで体験してみてください!

■30日間の無料トライアル■
http://www.sdltrados.com/jp/products/trados-studio/free-trial.html
■トライアルガイド■
https://www.trados.com/jp/blog/trados_trial_guide.html

■ブログ■
第1回「Trados Studioの自己紹介」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/intoduction-sdl-trados-studio.html 
第2回「翻訳メモリ」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/translation-memory-sdl-trados-studio.html 
第4回「機械翻訳とは違う!?」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/trados-studio-machine-translation.html 
第5回「Tradosで使用するファイル」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/sdl-trados-studio-file-types.html 
第6回「Trados Studioの歴史」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/sdl-trados-studio-history.html 
第7回「Tradosの活用例、製造業界編!」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/sdl-trados-studio-manufacturing.html 
第8回「Tradosの活用例、特許業界編!」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/sdl-trados-studio-patent-law.html 
第9回「翻訳業務を標準化しよう」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/standardization-translation-with-trados.html 
第10回「翻訳メモリの共有と管理」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/sharing-managed-translation-memory-trados-studio.html 
第11回「外注しているからTradosは不要!?」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/how-to-use-trados-studio-for-outsourcing.html 

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