~Trados Studioってなに?~ 第7回「Tradosの活用例、製造業界編!」

皆さんこんにちは! SDLジャパンの西海です。このブログでは、Trados Studioという翻訳ツールについてご紹介をしていきます。

第7回ではTradosが実際にどう活用されているのかをご紹介します。これまで紹介してきた機能が実際の場面でどのようにいかされているかがわかりますよ!
今日は「製造業界」での活用例をご紹介します。

なんで製造業界?

製造業界というと広い定義になってしまいますが、この業界では製品の種類に関わらず共通していることがあります。それは製品に対して「製品マニュアル」や「取扱説明書」が作成され、それらには定期的に改版が発生するという点です。この改版が大きなポイントになります。
翻訳メモリの特性上、過去の文と同一/類似の文が多い程、多くの文を流用できメリットは大きくなります。製品マニュアルの翻訳において、改版があると前版から重複する訳文をTrados上で全て埋めることができるので、流用率が非常に高いんです。これで簡単に差分翻訳を行うことができます。

具体的な使用イメージ

例えば、製品Aがリリースされマニュアルの初版(第1版)が作成された場合を考えてみましょう。翌年、製品Aはバージョンアップされたのでマニュアルの第2版が作成されます。

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第1版と第2版では約70%が重複する文で、残りの30%が第2版で追加された文と修正された文だとします。このような場合、Tradosで第2版の翻訳を行うと第1版から重複する70%の文は自動で埋めることができ、30%の翻訳に集中することができます。何度も同じ文を翻訳する必要がないというメリットが生かされていますね。

Tradosを使用せず手動で差分をとる場合、目で確認をしながら同じ文を挿入したり、「Ctrl+F」で検索をかけながらコピー&ペーストで同じ文を挿入する手間が発生します。この方法は時間がかかり、またチェック漏れや誤った文の挿入など、ヒューマンエラーが発生する可能性があります。Tradosで差分翻訳をするとシステム的に確実な作業を行うことができるので安心ですね。

この概念は製品マニュアルや取扱説明書に限ったものではなく、改版・改訂が発生する文書であれば同様の考え方をすることができます。例えばWebサイト、会社案内、規約文書なども該当するかと思います。

実際はどう使うの?

引き続き、製品Aのマニュアルが改版され第2版がリリースされたケースを想定してみましょう。第1版の内容は昨年Trados上で翻訳済みで翻訳メモリに蓄積されている前提です。まず第2版の原文をTradosに取り込みます。この時点ではまだ訳文側には何も入っていません。

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次に、「一括翻訳」という機能を使用します。この機能はブログの第2回でも紹介しましたよ!一括タスクは翻訳メモリから候補がある文を一括で訳文側へ挿入する機能です。

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一括翻訳を実行すると、訳文側に翻訳メモリの候補が挿入されました。

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ここで挿入されている「CM(コンテキストマッチ)」と「100%」という緑のマークの分節は翻訳メモリから流用した文、つまり第1版と重複している文です。

※CMは100%よりも信頼度の高い位置づけですがここでは100%と同様とお考えください

そしてところどころ、翻訳が挿入されていない分節(未翻訳の白紙マーク)があります。

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これらは第2版で新しく追加された新しい文、もしくは第1版から変更や修正された文になりますので、これから翻訳作業が必要な分節になります。

これで簡単に差分を抽出することができました!どうですか、とても簡単でしょう?
それに確認漏れやミスなどの心配もいりません!

フィルターの活用

文書が長い場合はスクロールするのが面倒、という場合があります。
Tradosではフィルター機能を使用することで表示したい文節のみに絞ることも可能です。

例えば、一括翻訳後に埋まらなかった未翻訳(白紙マーク)の文節だけを表示するようフィルターをかけると、以下のようになります。

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翻訳メモリからの候補がなかった文だけが抽出され、作業が必要な分のみを表示することもできます。

用語の統一

第3回で紹介した用語ベースも、製品マニュアルの翻訳で大きな効果を発揮します。
製造業の場合、製品名やパーツの名前など一貫性が必要な用語が多くあります。
例えば、「Pull the lever」に対し「レバーを引いて下さい」という表現が共通で使われているとしましょう。途中誤って「取っ手を引いて下さい」という表現が混ざっていたとします。読者はここで「レバー」が「取っ手」に変わったことで、別のパーツを指しているのではないか、と考える可能性があります。
記憶に頼って翻訳するとこのように違う用語を入れてしまう可能性がありますが、Trados上で翻訳を行うと漏れなく用語を統一することが可能です。

今日は、製造業界でTradosがどう活用されているかを紹介しました。製造業界の方は要チェックですよ!もちろん、他の業界の方でも使えそうな文書は多くあると思いますので、皆さん検討してみてくださいね。

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■ブログ■
第1回「Trados Studioの自己紹介」 
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第2回「翻訳メモリ」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/translation-memory-sdl-trados-studio.html 
第3回「用語ベース」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/sdl-trados-studio-termbase.html 
第4回「機械翻訳とは違う!?」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/trados-studio-machine-translation.html 
第5回「Tradosで使用するファイル」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/sdl-trados-studio-file-types.html 
第6回「Trados Studioの歴史」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/sdl-trados-studio-history.html 
第8回「Tradosの活用例、特許業界編!」 
https://www.sdltrados.com/jp/blog/sdl-trados-studio-patent-law.html 
第9回「翻訳業務を標準化しよう」 
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第10回「翻訳メモリの共有と管理」 
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第11回「外注しているからTradosは不要!?」 
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