
~Trados Studioってなに?~第5回「Tradosで使用するファイル」
Trados Studioで翻訳できるファイルって何があるの?
第5回はTrados Studioで扱うファイル形式についてご紹介します。
皆さんは普段翻訳をする際、どのようなファイルを使用していますか?
WordやExcel、HTMLなど文書タイプや用途によって様々なファイルを取り扱っているかと思います。Trados Studioでは原文ファイルの形式が異なっていてもそのまま取り込み、同じ環境で翻訳を行うことが可能です。翻訳終了後は原文と同じファイル形式で訳文ファイルを出力することができます。
以下、Trados Studioに取り込めるファイルの一部です。
【対応ファイル】
・Microsoft Office Word、Excel、PowerPoint、
・Microsoft Office Visio
・テキスト(txt、csv)
・HTML
・XML
・Adobe InDesign、FrameMaker、Photoshop など
Trados Studioに対応しているファイル形式であれば、そのまま原文ファイルを取り込み翻訳作業を開始できます。テキスト情報を手動で抜き出したり、訳した文を訳文ファイルに挿入する作業は不要です!
中間ファイル(sdlxliffファイル)
Trados Studioに原文を取り込むと、原文ファイルの形式に関わらず「.sdlxliff」という拡張子の中間ファイルが自動で生成されます。(原文が格納されているフォルダ内に生成されます)
sdlxliffファイルとは一体何者かというと、Trados Studio上の「エディタ」ビューで見ている対訳画面の情報が含まれているファイルです。(下図)
「エディタ」ビューで見ている翻訳作業は実はこのsdlxliffファイルに記録されているんです。
【「エディタ」ビュー】
sdlxliffファイルは共通の形式で生成されるため、原文のファイル形式を心配することなくTrados Studio上では同じ環境で翻訳を進めることができます。翻訳が終わったら、原文ファイルと同じ形式で訳文ファイルを出力します。
例えばWordファイルの場合、「Word(原文)➔sdlxliff(Tradosのエディタビューで翻訳)➔Word(訳文)」といったフローになります。
~ご参考~
実は「sdlxliff」ファイルは翻訳作業の履歴となる非常に重要なファイルなんです。Tradosに慣れている方は既に知っているかと思いますが、初めて使う場合「何のファイルだろう」と思い、消してしまう場合があります。もちろん、元となる原文とアウトプットとして出した訳文がそれぞれあればデータ自体は残されているのですが、sdlxliffを保存することで次の3つのメリットがあります。
【sdlxliffを使用するメリット】
①対訳形式で保存されている
原文と訳文が別々のファイルで保管されているよりも、対訳形式になっていることで使い勝手がよくなります。
②Trados上の「エディタ」ビューですぐに翻訳環境を復元できる
過去の翻訳を遡って確認する場合、すぐにTrados上で作業を再開できます。
③他のTradosユーザと共有しやすい
他のTradosユーザにsdlxliffファイルを渡せば、翻訳環境を簡単に共有できます。
Tradosで翻訳をすることになったら、原文・訳文ファイルに加えてsdlxliffファイルも保管するようにして下さいね。(念の為バックアップを取ることをお勧めします!)
例外ファイル:PDF
訳文ファイルは原文ファイルと同じ形式で出力されるとお伝えしてきましたが、1種類だけ例外ファイルがあります。それはPDFです。PDFはTradosに取り込むと自動でWordに変換され、翻訳終了後は訳文もWordで出力されます。流れはこんな感じ。
「PDF(原文)➔Word(原文)➔sdlxliff(対訳)➔Word(訳文)」
またPDFは保存の仕方によって以下の2種類に分類されます。
①データのPDFファイル
WordやExcelからPDFに変換したもので、テキストを認識できる状態
②画像のPDFファイル
紙媒体をスキャナで取り込み画像として保管しており、テキストを認識できない状態
①の場合、テキスト情報はTradosに取り込まれるため問題なく作業を進められますが、②の場合は画像からテキストへの変換が必要となります。ここで使う技術がOCR変換というものです。
【OCR変換とは】
OCR(Optical Character Recognition)変換とは画像に含まれるテキスト情報をテキストデータに変換する技術です。
Trados StudioにはOCR機能が標準でついていますので、画像のPDFファイルも取り込みが可能です!アジア言語にはバージョン2017から対応するようになりましたので、現在は日本語や中国語もOCR変換をご利用いただけます。詳しくはコチラのブログを読んでみてくださいね。
②の画像PDFの場合、まずOCR変換でテキストデータに変換をしてから翻訳作業を開始します。目で確認をしながら手でテキストデータを打ち込むよりは作業効率を上げることができるかと思います。
※画像の質(鮮明さや明るさ)、文字のフォントによってはキレイにOCR変換をできない場合があります。
画像・表はどうなるの?
取り込む原文ファイルに画像・表が挿入されている場合はどうなるのでしょうか。
【画像】
Trados Studioは原文ファイルからテキスト情報だけを抜き出しており、画像は翻訳対象としては取り込まれません。訳文には原文と同じ画像が同じレイアウトで出力されますので、翻訳作業だけに集中することができます。
【表】
表の中にある1つ1つの要素は、上述の通りテキスト情報として抽出され、翻訳完了後は訳文を同じセルに戻します。人の手でテキストを挿入する必要はありませんので、表の多い文書も簡単に訳文ファイルを出力できます。
※原文と訳文の長さが大きく違うと、セルに収まらない場合やセルが大きくなるため人の手による修正が必要な場合があります。
例えば、小さい画像と表が含まれるWordを「英語➔日本語」で翻訳をすると以下のようになります。
【原文】
↓翻訳
【訳文】
「!」の画像は同じ場所に、各テキスト情報は同じ場所に出力されていることがおわかりいただけるかと思います。Trados Studio上ではテキストの翻訳をしただけで、訳文は自動で上のようなレイアウトで出力されます。
最後に
今までファイル形式に関連する業務に時間を取られていた方はTrados Studioで改善できるかもしれません!翻訳作業以外のところで時間を取られるのってイヤですよね。
ぜひ、30日間のトライアルでお役に立てるツールかお試し下さい!
■30日間の無料トライアル■
http://www.sdltrados.com/jp/products/trados-studio/free-trial.html
■過去のブログ■
第1回「Trados Studioの自己紹介」
https://www.sdltrados.com/jp/blog/intoduction-sdl-trados-studio.html
第2回「翻訳メモリ」
https://www.sdltrados.com/jp/blog/translation-memory-sdl-trados-studio.html
第3回「用語ベース」
https://www.sdltrados.com/jp/blog/sdl-trados-studio-termbase.html
第4回「機械翻訳とは違う!?」
https://www.sdltrados.com/jp/blog/trados-studio-machine-translation.html
第6回「Trados Studioの歴史」
https://www.sdltrados.com/jp/blog/sdl-trados-studio-history.html
第7回「Tradosの活用例、製造業界編!」
https://www.sdltrados.com/jp/blog/sdl-trados-studio-manufacturing.html
第8回「Tradosの活用例、特許業界編!」
https://www.sdltrados.com/jp/blog/sdl-trados-studio-patent-law.html
第9回「翻訳業務を標準化しよう」
https://www.sdltrados.com/jp/blog/standardization-translation-with-trados.html
第10回「翻訳メモリの共有と管理」
https://www.sdltrados.com/jp/blog/sharing-managed-translation-memory-trados-studio.html
第11回「外注しているからTradosは不要!?」
https://www.sdltrados.com/jp/blog/how-to-use-trados-studio-for-outsourcing.html
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