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Excelを翻訳メモリに変換する方法

皆様、こんにちは。SDLジャパンの佐藤です。弊社サイトのリニューアル等で停止していたブログを再開したいと思います。宜しくお願い致します。

「翻訳メモリとは何か」「導入の工程はどうあるべきか」「ワークフローの具体例」といったテーマを語っていきたいと思っているのですが、「翻訳メモリとは何か」は別にして、残りの2つはお客様ごとに千差万別で、すべてを網羅しようとすると、辞書とはいかないまでも分厚い本を書くような分量になってしまい、ブログというスペースに収まりきりませんので、当面、私のお客様(営業担当区分は翻訳会社およびマニュアル制作会社です)から頂いた質問への回答を掲載していこうと思います。

さて、第1回の内容ですが、Excelファイルを翻訳メモリに変換する方法です。これまで、SDL Trados Studio(またはSDL Trados)を使用していなかったプロジェクトの場合、当然、翻訳メモリがないわけですが、翻訳メモリはなくとも、原文と訳文のセットが何らかの電子データ(MS Office、Adobe DTPアプリケーションデータ、XML、HTML、テキストファイルなどSDL Trados Studioで扱えるデータとして)として残っていれば、そこから翻訳メモリを作成することが可能です。

この作業の負荷について良く質問があるのですが、結果から言ってしまえば、思っているより時間がかかることが多いです。それは、データが正しく整合されているか(原文と訳文が正しく関連付けされているか)を目で確認しないといけなくなるケースがほとんどだからです。とはいえ、ゼロから翻訳するのと整合作業を行うのとでは効率にかなり差がありますし、前回の翻訳と統一をとることも大事ですので、流用量を見極めて効率よく整合作業を行うことをお勧めします。

基本的に、この整合作業にはWinAlignというツールを使用します。これはSDL Trados Studioに同梱されているツールです。このツールは便利なのですが、いくつか不都合な点もあります(詳細は、弊社のナレッジベース(英語のみ)をご参照ください)。そこで、別の方法で整合を行ったり、そもそも整合を終えたExcelファイルが手元にあったりという状況で、分節を翻訳メモリに変換する方法を説明させて頂きたいと思います。

前提として、原文の分節と訳文の分節が別の列に配置されたExcelファイルが必要となります。また、Excelのセル内で改行がある場合には、下記の手順でTXTに変換したところで問題が出ますので、セル内の改行は予め削除しておいてください。

SDLXLIFFに変換する

  1. 該当ファイルをMicrosoft Excelで開き、原文列と訳文列を選択してコピーします(Ctrl+C)
  2. メモ帳を開き、コピーした内容を貼り付けます(Ctrl+V)。
  3. 文字コードを「UTF-8」に設定して、テキスト文書(.txt)として保存します。
  4. SDL Trados Studioを起動します。
  5. 「ホーム」ビューで「ファイルを開く」をクリックします。
  6. 保存したTXTファイルを参照します。
  7. 「ファイルを開く」ダイアログで、原文言語および訳文言語を選択して(画像)、「OK」をクリックします。
  8. TXTファイルがSDLXLIFFファイルに変換されます。
  9. Ctrl+Sを押して、SDLXLIFFを保存します(プロジェクトファイルも同時に作成されます)。

空の翻訳メモリを作成する

  1. 「エディタ」ビューで「プロジェクトの設定」をクリックします。
  2. 「プロジェクトの設定」ダイアログの左側のナビゲーション枠で「言語ペア」>「すべての言語ペア」>「翻訳メモリと自動翻訳」を選択してから、「作成」>「ファイル共有タイプの翻訳メモリ」を選択します(画像)。
  3. 保存場所を指定し、翻訳メモリに名前を付け、言語の指定をして翻訳メモリを作成します。
  4. 「OK」をクリックして、「プロジェクトの設定」ダイアログを閉じます。

翻訳メモリにSDLXLIFFの情報を書き込む

  1. 「エディタ」ビューで、「プロジェクト」から「一括タスク」>「メインの翻訳メモリの更新」をクリックします。
  2. 表示された「一括処理」ウィザードの1ページ目で「次へ」を、2ページ目で「次へ」をクリックします。
  3. 「一括処理」ウィザードの3ページ目の左側のナビゲーション枠で「言語ペア」>「すべての言語ペア」>「一括処理」>「翻訳メモリの更新」を選択してから、「翻訳中」および「未翻訳」のオプションを選択します(画像)。「終了ボタン」をクリックして処理が終了したら、「閉じる」ボタンをクリックし「一括処理」ウィザードを閉じます。SDLXLIFFを「エディタ」ビューで再び開くか聞かれたら、「いいえ」を選択してください。
  4. これでTXTの情報をSDLXLIFF経由で翻訳メモリに移行することができました。

不要なファイルを削除する

  1. SDL Trados Studioの「プロジェクト」ビューに移動します。
  2. 該当プロジェクトを選択して右クリックし、「リストから削除」を選択します(画像)。
  3. Windowエクスプローラで実際にプロジェクトを保存した場所に移動して、SDLXLIFFファイルおよびSDLPROJファイルを削除します。