SDL Trados Studio JP Blog

「100%一致」と「完全一致」の違い

みなさま、こんにちは。SDLジャパンの土田です。こちらのブログで、Trados Studioを中心としたSDL製品の技術的な情報をお届けしています。

Tradosを使って翻訳作業を行う際、「100%一致」と「完全一致」という、とてもよく似た言葉に出会ったことはありませんでしょうか。どちらもTrados特有の言葉なのですが、ビギナーの方にとっては混乱してしまいそうなポイントではないかと思います。

実際、私は混乱していました。 今回は、こちらの違いについてお話したいと思います。

100%一致について、そしてコンテキスト一致(CM)について

まず「100%一致」についてご説明します。また、その延長の位置づけにある「コンテキスト一致(CM)」についてもご説明します。

Trados Studioの[エディタ]ビューで翻訳作業を行っている際、Tradosは翻訳対象である原文分節の内容を翻訳メモリ(TM)内で検索します。

そこである程度の共通部分を持つ原文分節がTMに見つかると、一致している度合いのパーセンテージとともに、違っている箇所の差分と過去に登録した翻訳内容が表示されます。これが「あいまい一致(Fuzzy Match)」と呼ばれる検索結果です。

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ここで、まったく同じ内容の原文分節がTM内に見つかったとします。そのような場合、一致のスコア(パーセンテージ)は当然100%となります。これが「100%一致(100% Match)」です。

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さらに「直前の分節も100%一致である」ような場合、文脈的にも一致しているという意味で「コンテキスト一致(CM)」と判断されます。

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コンテキスト一致は100%一致よりも信頼性が高いと判断されますので、こちらの方が優先して[翻訳結果]ウィンドウに表示されます。

先頭に位置している文に関しても、「直前の文が存在しない」というコンテキスト情報が適用されます。したがって同様にドキュメントの先頭に位置していてなおかつ内容が100%一致している場合、こちらもコンテキスト一致として判断されます。

完全一致について

さて、それでは完全一致に関してはどうなのでしょう。

100%一致との最も大きな違いは「TMではなく、過去に作成したSDLXLIFFファイル(バイリンガルファイル)を参照する」ということです。

SDLXLIFFファイルにはテキスト情報だけでなく、文字のレイアウト情報やスタイル情報も記憶されています。Tradosで新しく翻訳対象の原文ファイルを読み込むと、作業対象のファイルとして新規にSDLXLIFFが生成されます。こちらと過去に作業を行ったSDLXLIFFファイルを対照し、共通部分の文節に対して「完全一致」という判断が行われます。

たとえば、以下のような2つの原文ドキュメントがあるとします。「旧」の方は過去に翻訳済みであり、「新」はこれから翻訳を行おうとしています。このような改版の場合、新旧のドキュメント間にはたくさんの共通部分があります。

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「新」の方の原文ファイルでプロジェクトを作成し、一括タスクから[完全一致]を選択します。[一致ファイルの追加]より、「旧」で作業を行ったSDLXLIFFファイルを指定します。

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[完了]をクリックして完全一致を実行すると、このように過去のドキュメントとの共通部分に対しては[PM]の表示とともに訳文が適用され、さらにロックがかかります。また分節のステータスも最終承認済みである「リリース」となります。

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この完全一致はドキュメントの改版時だけでなく、作業状態の復旧手段としても有用です。たとえば何らかのアクシデントでプロジェクトを再作成しなくてはならなくなったとします。こうした時にTMに翻訳が蓄積されていれば一括翻訳から復旧させることが可能ですが、もしも同様のSDLXLIFFファイルのバックアップがあれば、完全一致によって翻訳を自動入力することができます。

あるいは、翻訳者が作業済みの返却パッケージを送付してきたのに何らかの問題でインポートに失敗するといった場合でも、返却パッケージを解凍して中からSDLXLIFFファイルを取り出し、完全一致を利用して元のプロジェクトに訳文を反映させることが可能です。