Trados質問会 レポート 5
みなさま、こんにちは。SDLジャパンの土田です。こちらのブログで、Trados Studioを中心としたSDL製品の技術的な情報をお届けしています。
定期的に「Trados質問会」というユーザーミーティングを開催させていただいています。その第5回を10月11日に開催さていただきました。今回もその中で挙がりましたトピックからいくつかピックアップし、ご紹介したいと思います。
Q: AnyTMを使用し、言語ペアが逆方向のTMをプロジェクトに割り当てましたが、元のTMとは別に「anytmreverse」という名前が付いたTMが自動的に生成されました。元のTMとは何か違いがあるのでしょうか?
AnyTMで言語方向が逆のTMを指定すると、TMの変換が行なわれ、逆の言語方向を持つTMが生成されます。こちらが、「anytmreverse」と名前が付いたTMです。
この2つのTMはペアで動作します。プロジェクト上で訳文が確定されると双方のTMが更新されますのでご注意ください。
AnyTMで割り当てたTMを更新したくない場合、[プロジェクトの設定]>[言語ペア]>[すべての言語ペア]>[翻訳メモリと自動翻訳]のページにて、[AnyTM:]と表示されたTMの[更新]を無効にします。
Q: TMはプロジェクトごとに設定するようになっていまが、一つのプロジェクトに英和、和英のように言語方向の違う案件を登録することはできないのでしょうか?
プロジェクトの原文言語は1言語のみに固定されています。それに対して複数の訳文言語を指定することはできますが、原文言語を複数設定することは出来ません。
Q: 日本語原文で、()内に句点がある時に分節が区切られてしまいます。回避する方法はありますか?
TMの分節規則を変更することで回避できます。まず[翻訳メモリの設定]より[言語リソース]>[分節規則]を選び、[編集]をクリックします。
[Terminating punctuation (full stop, question mark, exclamation mark, variants)]を選び、[編集]をクリックします。
[分節の前]および[分節の後ろ]をどちらも[問わない]に設定し、[終了文字]に「。」(句点)を入力します。[終了句読点を含める]を無効にし、例外の[追加]をクリックします。
[説明]のフィールドに分かりやすい任意の名前を入力し、[分節の前]は[問わない]を選びます。そして[終了文字]に全角の句点を、[分節の後]に全角の閉じ括弧を入力します。
下のサンプルのように、()内の句点では分節化されません。
Q: 原文中の「Ref:」や「Para.」といった略語のコロンやピリオドで分節化されてしまいます。避ける方法はありますか?
これらの語句をTMの略語リストに加えてください。やはり[翻訳メモリの設定]より[言語リソース]>[略語リスト]を選択し、[編集]をクリックします。
登録済みの略語リストが表示されますので、リストの一番下に任意の略語を入力できます。
Q: 原文分節の中に改行やタブが存在した場合、訳文にも反映されているかQA Checker 3.0で検知することはできますか?
[プロジェクトの設定]>[検証]>[QA Checker 3.0]>[正規表現]で、改行を含む文字列を設定します。
[説明]に分かりやすい任意の名称を入力し、[原文正規表現]および[訳文正規表現]に「.+[\r\n].+」と入力します。[条件]は[原文は一致するが訳文は一致しない場合に報告する]と設定します。最後に、[アクション]より[アイテムの追加]を行うことを忘れないでください。
この設定で検証を行なうと、原文内の改行が訳文に反映されていない分節に対して、警告が上がります。
タブをチェックしたい場合、[原文正規表現]および[訳文正規表現]には「.+\t.+」と入力します。他の設定は先ほどと同じです。
Q: PMが適用された分節だけが着色された状態で訳文ファイルに出力することは可能ですか?
[高度な表示フィルタ]より[Perfect Match]の分節を指定し、この条件フィルタリングします。
PMの分節のみが表示されますので、訳文分節をすべて選択し、[QuickInsert]>[タグの挿入]よりハイライト色を追加してください。
指定の箇所がハイライトで着色された状態で、訳文ファイルを生成することが可能です。
また、別の条件でフィルタリングすることももちろん可能です。100%一致の分節のみ、あるいはロックされた分節のみ、などの条件で抽出することができます。