Live Team

チームで翻訳を進めるクラウドソリューション
~Trados Live Teamのご紹介~


 

皆さんこんにちは。RWSグループ、SDLジャパンの西海です。

これまで多くの方から「Trados Studioのクラウド版はありますか」という声をいただいておりましたが、
この度ついにクラウドソリューションをリリースすることになりました!
クラウドには個人で使用するタイプと、チームで使用するタイプがあります。既にTradosを使っている方にも、Tradosを新規で検討している方にもご活用いただける製品です。
まず最初に製品ラインを整理してご紹介したいと思います。

*本ブログではTrados Studio(デスクトップアプリケーション)のことを「Trados」と短く表記します
*Trados Live Teamのことを「オンライン」「クラウド」「Webブラウザ」などと表記しています

製品のまとめ

今回紹介する「Trados Live Team」に関連するクラウドソリューションをご紹介いたします。
Trados Live Essential(個人)
こちらは個人で使用するクラウド環境です。Trados Studio 2021を1ライセンス購入すると1環境が付属し、初年度は無料で使用することが可能です。
Trados Live EssentialについてはこちらのTrados Studio 2021のブログをご覧ください。

Trados Live Team(チーム)
Trados Live Teamはチームで翻訳を行えるクラウドソリューションです。クラウド上で翻訳を行えるだけではなく、翻訳メモリなどのファイルをリアルタイムで共有したり、ワークフロー機能を活用したプロジェクト管理も行うことができます。オンラインで作業ができるためTradosを持っていない外部ユーザが翻訳をしたり、出張中や外出先からプロジェクトマネージャーがパッとコーディネートを行う場面でも便利です。これから詳しくご紹介します。

Language Cloud(中大規模チーム、複雑なワークフロー向け)
Language Cloudはさらに上位に位置づけられ、複数ベンダーを含む中大規模のチームの場合、ワークフローが複雑で自動化をしたい場合などに適しているTMS(Translation Management System)製品です。
Language Cloudには見積作成機能やクライアント/ベンダー管理などの管理機能も備わっています。またワークフローを細かくカスタマイズでき、各ユーザのニーズに応じたフローで作業を進めることが可能となります。

これら3つの製品はすべて「Language Cloud」を基盤に稼働しており、ユーザインターフェースや操作性は共通しています。また②Live Teamで運用を開始し、将来的に③Language Cloudへスケールアップをしたい場合にもスムーズに移行を行うことができます。

*Trados Live Essential/Teamの画面上では「Powered by Language Cloud」と表記されています

チームでの運用の課題

Live Teamの紹介にあたり、チームで翻訳業務を進める際にどのような課題があるか考えてみましょう。
例えば、
【ユーザ環境の課題】
・リモートワークの際に自宅のPCにTradosが入っていない
・TradosがインストールされたPCを常に持ち歩く必要がある
・Tradosを持っていないユーザは作業をできない(外部ユーザを含め)
・MacOS、タブレット、スマートフォンから作業を行いたい

【プロジェクト管理の課題】
・プロジェクトをExcelのリストで管理しているが更新が煩雑になる
・進捗状況をメールや電話で確認する必要がある
・各担当者に対し毎回1往復のやり取りが発生しコーディネータの負荷が大きい
・次のフェーズまでの待ち時間が発生する

【ファイル共有の課題】
・ファイルをメールに添付し送るのが面倒
・翻訳メモリを別々に更新しているため、統合や最新バージョンの管理が必要
・外部翻訳者に翻訳を依頼したり、クライアントにレビューを依頼する際に、ファイルをリアルタイムで共有できない(更新後の翻訳メモリを共有したい)
・複数の翻訳者がアサインされるプロジェクトで翻訳メモリをリアルタイムで共有できず、翻訳者間で同じ分節を繰り返し翻訳したり、表現がバラついている
・ファイルの保存場所がユーザ毎にバラバラで、バックアップもとっていない

皆さんいかがでしょうか、このような課題はお持ちでないでしょうか。
Live Teamを使用することでこのような課題を解決することができます。

Trados Live Teamの概要

Live Teamを図で表すと以下のようなイメージになります。
1 

クラウド上に「プロジェクト」「翻訳メモリ」「用語ベース」を集約し、複数ユーザがアクセスをします。これによりユーザ間のファイルの送付や移動は不要となり、またファイルに複数ユーザが同時にアクセスできるためリアルタイムの共有を実現します。
Tradosを持っている人はTradosから、Tradosを持っていない人はオンライン(Webブラウザ)から作業を進めることが可能です。離れた拠点の人や、外部ユーザもアクセスをすることができます。

Live Teamのオンライン作業環境はTradosとほぼ同等の機能を持ち、オンラインだけで運用していくこともできます。すでにTradosを持っている場合はTradosとオンラインを組み合わせて運用をすることもできます。どのように運用するかはユーザの好みやニーズに応じ最適化が可能です。

Trados Live Teamの機能

それでは具体的な機能を見ていきましょう。
【ログイン】
まずWebブラウザ上でLive Teamにアクセスしログインを行います。
2

Tradosからアクセスをする場合は、画面右上のサインインから接続します。
3

【ダッシュボード】
ログインをするとダッシュボードが表示され、プロジェクトの全般情報を確認できます。
4

【テンプレートの準備】
Live Teamの運用では事前にテンプレートの準備を行います。
・プロジェクトテンプレート
言語ペア、ワークフローテンプレート、翻訳エンジンなど、全般的な設定をテンプレートファイルに設定します。プロジェクトテンプレートはTradosにもありますよね。
・ワークフローテンプレート
各フェーズのON/OFFと、誰をどのフェーズにアサインするかを設定します。
・翻訳エンジン
翻訳メモリ、用語ベース、機械翻訳プロバイダを3つまとめて設定するものです。

上記のようなテンプレートを予め設定しておくことで、プロジェクト作成時にテンプレートを選択し素早くプロジェクトを作成できます。

【ワークフロー】
22
Live Teamにはワークフロー機能がありプロジェクトの進行を効率化します。基本的に4つのフェーズがあり、各フェーズに担当者をアサインします。不要なフェーズがある場合はOFFにすることもできます。
プロジェクト作成時に各フェーズの担当者をアサインしておくことで、フローは自動で進んでいきます。コーディネータは進行に伴い都度担当者とやり取りをする必要はありません。

担当者のアサインは特定のユーザを選ぶこともできますし、例えば翻訳者グループA、レビューグループBなどグルーピングした複数ユーザをアサインすることも可能です。グループをアサインする場合は対応可能な人がタスクを承認し進めていきます。

【プロジェクト作成】
プロジェクトビューではTradosと同様プロジェクトを一覧で確認することができます。
言語ペア、進行度、締切日、ステータスなどの情報が表示されます。  
5
画面左側にはフィルタ機能があり、言語、日付、ステータスで表示するプロジェクトをフィルタリングすることもできます。

右上の「新しいプロジェクト」をクリックするとプロジェクト作成画面が表示されます。
Live Teamのプロジェクト作成ウィザードは4ステップです。
6

まず「全般」でプロジェクト名、締切日、プロジェクトテンプレートを設定し、原文ファイルを選択またはドラッグ&ドロップします。
プロジェクトテンプレート内に以降のステップのテンプレート情報も含まれるため、以降は確認程度で進めていくことができます。

次のステップでは「翻訳エンジン」の設定を行います。プロジェクトテンプレートに含まれる翻訳エンジンが自動で選択されますが、別の翻訳エンジンを使用したい場合や調整が必要な場合は、その場で翻訳メモリや用語ベースを変更します。
7

翻訳エンジンは上述の通り、事前に「翻訳メモリ」「用語ベース」「機械翻訳エンジン」の3つを設定したものを作成しておきます。
8

次にワークフローテンプレートを設定します。こちらもプロジェクトテンプレートを最初に選択した時点で含まれるものが自動でセッティングされます。
この画面上で不要フェーズを除外したりアサインしたい人とグループを変更することも可能です。
9 
最後にプロジェクト全般の設定を確認します。一括タスク、翻訳メモリの設定、検証設定などです。こちらはTradosと同様の項目です。最後に「作成して開始」ボタンをクリックするとプロジェクトが作成され、最初にアサインされた人にメール通知が送信されます。
10

【プロジェクトの確認】
プロジェクトビューには作成したプロジェクトがリストで表示されます。
各プロジェクトをクリックすると、以下のような情報を確認できます。
・ダッシュボード
プロジェクトの進行状況を把握できます。
11

・ステージ
「準備」「翻訳」「レビュー」「ファイナライズ」のうち、現在どこのフェーズにいるかを確認できます。
12

・レポート
翻訳メモリからどれだけ流用ができるかを表す解析レポートを確認できます。Tradosの「レポートビュー」に相当します。解析レポートはExcelやxmlで出力が可能です。
13

・ファイル
プロジェクト内にあるファイルを確認できます。Tradosの「ファイルビュー」に該当します。
またここで訳文ファイルをダウンロードすることができます。プロジェクトが完了したら、訳文ファイルの出力はこの画面から行います。
14

・設定
使用する翻訳メモリを途中で変えたい場合など、プロジェクトの全般設定をここで変更できます。Tradosの「プロジェクトの設定」に該当します。
15

【翻訳とレビュー】
タスクがアサインされると通知が届きます。翻訳またはレビューをする際は、ファイルをオンラインエディタで開くかTradosで開くかを選択できます。

*プロジェクトパッケージ形式でインポート/エクスポートをすることもできます

16

「オンラインエディタで開く」をクリックするとすぐにブラウザ上で翻訳を開始できます。右側にはLookupウィンドウがあり、翻訳メモリ、用語ベース、機械翻訳の検索結果を確認しながら翻訳を進めていきます。Tradosと基本操作は同じです。
17

プレビューを見ながら翻訳を進めることも可能です。
29

オンラインエディタにはレビュー機能もあります。変更履歴やコメントを残したり、検証を行うことができます。レビューを行った分節ステータスはTrados同様、虫眼鏡のアイコンに変わります。
19

またレビューフェーズで不備が多いと判断した場合に、画面上の「修正の依頼」をクリックすることでレビュアーが翻訳フェーズに戻すことも可能です。この場合、翻訳にアサインされた方に再度通知が届きます。

翻訳/レビューが完了したら、「完了」をクリックすると次のフェーズに移動し、次の担当者に通知が届きます。

「Tradosで開く」を選択する場合は、Tradosが起動しLive Team上のプロジェクトをTrados上で作業することができます。

【メール通知】
自分にタスクがアサインされると以下のような自動メールが届き、すぐに作業に取りかかれます。
18

【翻訳メモリのメンテナンス】
Live Teamにある翻訳メモリはブラウザ上でメンテナンスを行えます。不要な分節を削除したり、編集を行います。
25

【用語ベースのメンテナンス】
同様に用語ベースもブラウザ上で編集が可能です。MultiTerm Desktopを使用せず、シンプルな環境で用語管理が可能になりました。
用語編集ウィンドウを開いておくことで、翻訳中に用語を編集したり追加することも可能です。
26

【外部ポータル(オプション機能)】
追加のオプション機能として外部ポータルがあります。原文を作成する部署やクライアントがポータル経由で直接翻訳依頼を送ることができます。日常的に翻訳部署や翻訳会社へ依頼を出すケースではポータルを使用することで、担当者の負荷を大幅に軽減できます。

こちらは翻訳依頼を出すポータル画面です。
27

標準コネクタとして、box、Dropbox、Google Drive、OneDriveとも接続が可能です。これらストレージ上に保管しているファイルを選択し依頼に出すことも可能です。

Live TeamとTradosとの連携

Trados画面右上のサインインでLive Teamと連携している場合、Live Team上のプロジェクトはTradosに同期します。プロジェクトビューのリボンにある「Cloudプロジェクト」で更新を行えます。
20

また逆に、Tradosで作成するプロジェクトをLive Teamへ連携することも可能です。プロジェクト作成時に、ローカルにプロジェクトを作成するかLive Teamにプロジェクトを作成するかをプルダウンで選べるようになります。Live Team上のプロジェクトは雲のアイコンで表示されます。
21

Live Teamと機械翻訳との連携

Live TeamのプロジェクトはSDLの機械翻訳とも接続が可能です。
オンラインエディタで翻訳中も、右の検索結果からリアルタイムで機械翻訳結果を挿入することができます。「AT」アイコンは機械翻訳結果を表しています。
24 

モバイルアプリ
30
Trados Liveにはスマートフォン向けのアプリがあり、スマホからもプロジェクト作成と進捗確認を行えます。プロジェクト作成はテンプレートを活用し素早く操作できます。
23

モバイルアプリには次のようなメリットがあります。
・電車で移動中などでもプロジェクト作成を行える
・出張中や外出先でもプロジェクトの進捗を確認できる
・訳文ファイルのプレビューを見ることができる

ユーザアクセスの範囲について

Live Team上には多くのファイルが集約しており、各ユーザがどの範囲までアクセスができるか心配に感じる方もいるかと思います。
Live Teamには階層があり、上層のユーザはすべてのファイルにアクセスができ、ある階層のユーザはその階層以下へアクセスが可能です。例えば外部ユーザは下層に設定をし、その階層にあるプロジェクトのみにアクセスができるようにすることが可能です。
28

またユーザの種類も管理者/プロジェクトマネージャー/外部ユーザなどの設定ができ、ファイルの更新/追加/削除など、行えるコマンドをコントロールすることもでき安心です。

Live Teamはこのような場面で便利!
Live Team以下のようなケースで活用することができます。

・リアルタイムの共有ニーズが大きい
社内の翻訳チームでファイルをリアルタイムに共有することで、翻訳者間による表現の統一を実現し、また繰り返し同じ分節を翻訳することを防げます。

・コーディネート業務を効率化したい
翻訳依頼を外部に依頼する際に、ファイルの送付やメールと電話の負荷を軽減でき、またフローも自動化されます。プロジェクトは自動で更新されていき、進捗管理も簡単になります。

・オンラインメインで運用をしたい場合
ユーザすべてがオンラインで作業をしたい場合もLive Teamが最適です。PCにアプリケーションをインストールすることなく、オンライン中心で運用可能です。

いかがでしたでしょうか。
Tradosを新規で検討されている方、すでにTradosを使っておりチームでの効率化を図りたい方、オンラインメインで運用をしたい方は、ぜひTrados Live Teamをご検討いただければと思います。

デモやより詳しい情報をご希望の場合はお気軽にお問い合わせください。

■お問い合わせ■
製品に関するご質問・お問い合わせはこちらまで。