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パート1:SDL Trados StudioのAutosuggest 2.0機能とMultiTerm 2015の活用で翻訳作業を効率化

ご存じの方もおられると思いますが、私が初めて就いた職業は翻訳者でした。 ザールブリュッケン大学でフランス語と英語を学び、 フリーランスとして翻訳の仕事をいくつか経験したのち、1994年にトレーニングとサポートに関する初の専任エンジニアとしてトラドス社に入社しました。 ずいぶん昔のことですが。

最初に私の経歴をお話ししたのは、今もスケジュールが許す限り、ちょっとした翻訳業務を引き受けるようにしているからです。 こうすることで、SDL Trados StudioMultiTermに実際の業務で触れることができます。私たちが製品デモでよく使う、フォトプリンターで出力したいろいろな形や大きさのサンプル文書で試すのとはやはり違いますからね。

翻訳する文書の種類は大体2つです。1つはSDL PassoloかSDL Trados Studioを使って訳すソフトウェア文字列のファイル。もう1つは、Tekomなどのイベントで使うPowerPoint資料集です。Tekomでは今もドイツ語が広く使われており、会議の席では実質的な世界共通語である英語が使われますが、まだ完全に英語に追い越されたというわけでもないのです。 そのため時折(実はかなり頻繁に)、自分が作成した英語版のスライド集を自らドイツ語に翻訳する必要が生じます。 翻訳する時間をなるべく取るようにしてはいるのですが、プロダクトマネージャとしての仕事もたくさんあり、翻訳作業をぎりぎりまで放っておくことも少なくありません。

私があることをひらめいたのも、Tekom開催前日まで翻訳作業に手をつけずにいたときのことです。 かなり分量の多い2つのスライド集の翻訳が私を待っていました。 本当に時間がないので、頑張って早く終わらせる必要がありました。 それと同時に、PowerPointのプレゼンテーションは同じ内容の繰り返しが多いとは言えないため、翻訳メモリや用語集の一致による翻訳のスピードアップにも望みをかけることはできませんでした。 そこで、新しくリリースされるSDL Trados Studio 2015の重要な機能の1つを試してみるいい機会じゃないかと思いついたのです。つまり、機械翻訳をAutoSuggestの予測入力のソースとして使用するのです。

正直に言うと、最初はさほど期待していませんでした。マーケティング分野の用語と機械翻訳(MT)は「相性抜群」とは言えないという考えが頭にあったからです。 実際に、暫定的な翻訳を後編集する従来のやり方でMTを使用するとフラストレーションがたまる作業になりがちです。多くの場合翻訳の品質が十分ではなく、許容できるレベルにするためには大幅に変更を加えるかゼロから翻訳し直さなければならないからです。

しかし機械翻訳からAutoSuggest 2.0を使用すれば、MTの新たな活用方法になるのではないかと考えました。翻訳を後編集するのではなく、MTの訳文から作業中の翻訳に当てはまりそうな断片的な語句を選ぶのです。 こうすればMTに振り回されるのではなく、翻訳者がMTに対して主導権を握れるわけです。

このやり方でプレゼンテーションに取りかかったところ、MTから推奨される「断片的な語句」によって作業がどんどん進むことに非常に驚きました。 1文単位ではなく断片的な語句のレベルで使うと、MTはまるで次々と訳文が湧き出るインスピレーションの源泉でした。 不適切な推奨訳(もちろんそういうこともあります)は無視すればよいし、同時にそのときの文の流れにうまく当てはまる適切な訳の候補も常に提示されます。

要するに、自分で入力していくとMTから断片的な訳文が推奨されるという方法に慣れた後は文字どおりあっという間に翻訳を終え、時間内に仕上げることができたのです。 このたびすべてのユーザーの皆様にこの機能をご提供できるようになり、非常にうれしく思っています。私同様、MTを利用したこの作業方法を存分に活用していただけることを願っています。 MTを非常に効果的な形で翻訳プロセスに取り入れることは、長年待ち望まれてきたイノベーションだと思います。

明日はもう1つのすばらしい新機能Retrofitをご紹介しますので、ぜひまたご参加ください。

SDL Trados Studio 2015の新機能の詳細については、直接お問い合わせいただくか、当社のフリーランスおよびLSP向けWebページを参照してください。